砂漠のハイウェイで行方不明になった妻を探す男の姿を描くサスペンス・スリラー。

ブレーキ・ダウン

Breakdown

1998  アメリカ

95分  カラー



<<解説>>

一作のテレビ映画でいきなり注目されたモストウ監督のメジャー・デビュー作。昨今は何かと込み入ったシチュエーションの映画が多い中、本作はいたってシンプルである。ハイウェイで妻をさらわれた男が、犯人を追って追って追いまくる。ただ、それだけ。しかし、実際に自分の身にも起こりそうなそのシチュエーションは、恐怖の舞台として最良だ。また、余計な説明を殺いだ脚本は、観客の想像力を掻き立てるだけの適度な余地を残している。つまり、一見何気ない物語に見えるが、サスペンスとしては、むしろ優れた脚本と言えるのである。
謎もトリックもなければ、派手な爆発炎上もない。モストウはあえてごまかしの利かないストイックな脚本を自ら書き、観客を挑発する。彼は、サスペンスを盛り上げるアイデアいっぱいの演出のみで勝負に出るのだ。巧みなカメラ・アングルが、怒りに燃える夫と非道な犯人グループの駆け引きの緊張感を伝え、スピーディな展開が、ハイウェイを疾走するかのごとくのドライブ感を生み出す。黄土色一色の砂漠の風景がもたらす生理的な渇望感も計算済みなのだ。また、無意味な駆け引きやどんでん返しで引っ張るようなことはせず、タイトにまとめた潔さも頼もしい。決してキャリアは深くはないが、本作で確かな演出力を見せつけたモストウは、『激突!』を彷彿とさる作品だったこともあり、“スピルバーグの再来”と絶賛された。



<<ストーリー>>

砂漠の真ん中のハイウェイで、テイラー夫婦の乗った自動車がエンコ。と、そこへちょうど、レッド・バーの運転するトレーラーが通りかかった。妻のエイミーは夫のジェフを車のそばに残し、レッド・バーと助けを呼びに向かったが、車はすぐに直った。ジェフはエイミーと待ち合わせたレストランに行くが、なぜか彼女の姿はなかった。
ジェフはさらに車を走らせ、先を行っていたレッド・バーに追いつくが、エイミーのことは知らないと言われた。訳が分からずにレストランに戻ったジェフは、店の前にいた男から、エイミーが男たちに連れ去られたと聞いた。ジェフは急いで男たちの去った方向へ車を走らせたが、レッド・バーとその一味に捕まってしまった。レッド・バーははじめからテイラー夫妻を狙い、エイミーを身代金目的に誘拐したのだった……。



<<キャスト>>

[ジェフ・テイラー]
カート・ラッセル

[レッド・バー]
J・T・ウォルシュ

[エミー・テイラー]
キャサリン・クインラン

[アール]
M・C・ゲイニー

[ビリー]
ジャック・ノーズワージー

[ボイド保安官]
レックス・リン

[アル]
リッチ・ブリンクリー

[アーリーン・バー]
モリア・ハリス

[レン・カーヴァー保安官助手]
キム・ロビラード

[カルフーン]
トーマス・コパチェ

[バーテンダー]
ジャック・マッギー



<<スタッフ>>

[キャスティング]
キャロル・ルイス ,C.S.A.

[音楽]
ベイジル・ポールドリス

[衣装デザイン]
テリー・ドレスバック

[編集]
デレク・ブレチン
ゲウィン・スティット

[美術]
ヴィクトリア・ポール

[撮影]
ダグ・ミルサム (ダグラス・ミルサム) ,B.S.C.

[ライン・プロデューサー]
ジェフリー・サドジン

[製作総指揮]
ジョナサン・フェルナンディス
ハリー・コロンビー

[製作]
ディノ・デ・ラウレンティス
マーサ・デ・ラウレンティス (マーサ・シューマーカー)

[脚本]
ジョナサン・モストウ
サム・モンゴメリー

[原案]
ジョナサン・モストウ

[監督]
ジョナサン・モストウ



<<プロダクション>>

[提供]
ディノ・デ・ラウレンティス

[協力]
スペリング・フィルムズ
パラマウント映画