インディアンの子孫である現代の青年二人が、
蒸発した父親の遺品を引き取りに行く様子を描くロードムービー。
スモーク・シグナルズ
SMOKE SIGNALS
1998
カナダ/アメリカ
89分
カラー
<<解説>>
NHKの製作支援により製作され、サンダンス映画祭に出品された作品。“スモーク・シグナル”とは狼煙(のろし)のこと。狼煙と火事をひっかけ、特にはユーモラスに、時には哀しく語られるロード・ムービー。原作はベストセラー作家シャーマン・アレクシーの小説。本作が長編デビューとなる監督は、自身もインディアンの子孫であるクリス・エアー。
物語に登場する二人の青年は、西部劇に出てくるような誇り高きインディアンではなく、ましてやカウボーイに排除される存在でもない。舞台は現代。インディアンなんてテレビの西部劇でしか観たことがない現代っ子なのである。そんな青年二人が、ほとんど知ることのなかった亡き父のことへ思いを馳せながら、自分たちのルーツに触れていく。旅の過程で明らかになる、家族に関わる衝撃の事実。父親を憎んでいた主人公ビクターが、親友でもあり兄弟でもあるトーマスを通じ、その真実の姿に気付いていく様が感動的だ。
劇中では、今も主人公たちの中に残るインディアンの文化も見せているが、ステロなイメージを過度に強調することなく、率直に“インディアンの今”を見つめ、共感しやすい家族や友情のドラマとして完結させた。全編を通して二人青年の掛け合いが愉快で、特に、おしゃべりなだがどこか哀愁漂うトーマスが良い味を出している。
<<ストーリー>>
アイダホの居留地に暮らすインディアンの子孫ビクターとトーマス。ある日、ビクターのもとへ、何年も前に蒸発した父親アーノルドの訃報が届いた。アーノルドの遺品は、彼がアリゾナで一緒に暮らしていたスージーという女性が持っているという。遺品を引き取りに行くことにビクターは消極的だったが、彼の旅についていくことになったトーマスは張り切っていた。というのも、トマースにとってアーノルドは、赤ん坊の頃に火災に見舞われた家から救い出してくれた命の恩人だったからだ。
ビクターとトーマスが居留地を出たのは、生まれて初めてのことだった。アイダホを出発してから、数日後の夜、ビクターとトーマスはアリゾナのスージーの家に到着した。ビクターとトマースは、家に迎え入れてくれたスージーから、アーノルドに関する衝撃的な事実を知らされた……。
<<キャスト>>
[ヴィクター・ジョセフ]
アダム・ビーチ
[“火をおこす”トーマス]
エヴァン・アダムス
[スージー・ソン]
アイリーン・ベダード
[アーノルド・ジョセフ]
ゲイリー・ファーマー
[アーレン・ジョセフ]
タントゥー・カーディナル
[警察署長]
トム・スケリット
<<スタッフ>>
[監督]
クリス・エアー
[製作]
ラリー・エステス
スコット・ローゼンフェルト
[製作総指揮]
カール・ブレスラー
デイヴィッド・スキナー
[共同製作]
クリス・エアー
シャーマン・アレクシー
[原作/脚本]
シャーマン・アレクシー
[撮影]
ブライアン・ケイプナー
[音楽]
BC・スミス