ベトナム後遺症を抱えながらスシバーを経営する黒人と日本人妻の姿を描くドラマ。

Mr.Pのダンシングスシバー

MR. P'S DANCING SHUSI BAR

1997  日本/アメリカ

90分  カラー



<<解説>>

ベトナム戦争と寿司、という意表をついた取り合わせが面白い異色の人間ドラマ。本作はNHK製作支援により日米合同で製作され、サンダンス映画祭に出品された。
黒人と日本人の夫妻が、ベトナムの悪夢や人種差別を乗り越えながら、過去の重みと向かい合う様が、監督のあたたかい目を通して描かれていく。「ダンシングスシバー」という題名に心躍らさせられ、実際、ユーモラスな面あるが、ユーモラスな表情の裏に隠されたテーマは、ダンシングしている場合ではないほどデリケートで深刻なものとなっている。
舞台は日本からアメリカへ移り、ついに物語の核心であるベトナムへ。後半はさらに重く暗い雰囲気に支配されていく。向かい合いたくはないが、向かい合わなければいけないものへ自ら近づいていく主人公。その姿は痛々しくもあるが、意外なラストシーンが待ち受けている。



<<ストーリー>>

ロサンゼルスのスシバーで働くブルースは、かつてベトナムで戦っていた兵士だった。戦争中に横須賀の基地から脱走したブルースは、反戦を訴える女性ミツコと運命的な出会いをした。それから十七年後、ブルースとミツコは再会を果たした。戦争の後遺症で不能者になったため、妻と離婚していたブルースは、ミツコと再婚した。
ブルースは数々の職を転々とした後、今のスシバーの定員の職に就いた。懸命に働いたブルースは板前への出世を目前にしていたが、店長の横山に裏切られて、出世の話は流れてしまった。持ち前の喧嘩っ早さから横山を殴り、職を失ってしまったブルースだったが、それでへこたれるような男ではなかった。ブルースは自らスシバーを経営することを思いついた。
ブルースの店「ミスターPのダンシングスシバー」が開店した。夫の暴走を心配するミツコをよそに、「ミスターP」は大繁盛したが……。



<<キャスト>>

[ブルース・マクフィ]
フランク・マクレイ

[ミツコ・マクフィ]
ナンシー・クワン

[キャサリン]
デボラ・クリストファーソン

[ハリー]
サイ・リチャードソン

[横山]
ロイド・キノ

[ナタリー]
オリビア・ブラウン



<<スタッフ>>

[監督]
田代廣孝

[製作]
スンミン・パーク

[製作総指揮]
井関惺

[共同製作]
ジュンミン・E・パーク

[脚本]
田代廣孝
田代智子

[撮影]
サシャ・レンデュリック

[音楽]
クリストファー・ホールデン