夏期学校で生き別れの双子姉妹が再会。
互いの立場を入れ替えた二人は、離婚した両親の関係を元に戻そうとする。
ケストナーの児童小説の映画化。
ふたりのロッテ
CHARLIE & LOUISE
DAS DOPPELTE LOTTCHEN
1994
ドイツ
98分
カラー
<<解説>>
「エーミールと探偵たち(エミールと探偵たち)」、「点子ちゃんとアントン」で知られる児童文学作家ケストナーの大ベストセラー「ふたりのロッテ」(旧題「双児のロッテ」)が原作。これまでに、『双児のロッテ』、『ひばりの子守唄』、"Twice Upon a Time"(日本未公開)、『罠にかかったパパとママ』と何度も映画化され、日本ではテレビアニメ化もされているが、ドイツ本国での映画化は、1950年の『双児のロッテ』以来44年振り。ちなみに、最も新しい映画化は1998年の『ファミリー・ゲーム 双子の天使』(『罠にかかったパパとママ』のリメイク)。
ふたりのロッテ、チャーリーとルイーズは一卵性の双子。しかし、育った環境が違うので、性格も特技もまったく異なっている。スポーツな得意なチャーリーと勉強の得意なルイーズが入れ替ることで、それぞれの片親を驚かせ、騒動を巻き起こす物語は、入れ替りコメディの決定版的内容だ。舞台は、原作が書かれた1940年代から現代に移されているが、両親の離婚という背景はそのまま。ケストナーは将来を予見していたようだ(ドイツ東西分断への想いも込められているのかも)。離婚という子供にとっては悲劇的な現実を、愉快な物語に包んで訴えているが、時折、親の目線になり、さりげなく彼らの事情も伝えている。子供向けの作品だが、大人の観客にとっては教育的な作品となるかもしれない。
別れてしまった両親を繋ぐ手がかりとして、音楽が効果的には用いられ、特に「別れのワルツ(蛍の光)」が頻繁に登場。チャーリーが母親に自分がルイーズでないことことを気付かせるため、音楽を使ったある行動に出るところは泣きどころとなっている。また、劇的な展開を見せるラストは感動的で、父親の力強いモノローグも心に染みる。
<<ストーリー>>
スコットランドでの夏期学校で出会ったチャーリー・パルフィーとルイーズ・クローガー。二人は互いの顔がそっくりだったことにびっくり。しかも、二人の誕生日は同じで、ミドルネームは二人とも“ロッテ”。母親のいないチャーリーと父親のいないルイーズは、自分たちが生き別れた双子であることを確信した。すっかり仲良しになったチャーリーとルイーズは、互いの立場を入れ替えてみることにした。
チャーリーはルイーズのフリして母親のいるドイツへ帰り、ルイーズはチャーリーのフリをして父親のいるオーストリアへ帰っていった。そして、二人ははじめて会った片親と一緒に生活することになった。ルイーズの母親でバリバリのキャリアウーマンのザビーネは、おしとやかだった娘が、突然、わがままで活発になったことに困惑。一方、チャーリーの父親でうだつの上がらない作曲家のウルフも、何かにつけては恋人の歌手サニーと衝突するようになった娘に困り顔。
チャーリーとルイーズは、新しい環境で悪戦苦闘しながらも、どうにか正体がバレずにうまくやってきた。しばらくして再会した二人は、次なる作戦へ移行することを決断。ザビーネとウルフをもう一度くっつけてしまおうというのだ……。
<<キャスト>>
[シャルロッテ(チャーリー)・パルフィー]
フリッツィ・アイヒホルン
[ルイーズ・クローガー]
フロリアーネ・アイヒホルン
[ウルフ・パルフィー]
ハイナー・ラウターバッハ
[ザビーネ・クローガー]
コリンナ・ハルフォウフ
[サニー]
アプリル・ハイラー
[ディータ・レイヒ]
ハンス・ジッヒラー
[ミス・ビショップ]
ヤン・ウィルソン
<<スタッフ>>
[監督/撮影]
ヨゼフ・フィルスマイヤー
[製作]
ギュンター・ロールバッハ
ヨゼフ・フィルスマイヤー
ペーター・ツェンク
[原作]
エーリッヒ・ケストナー
[脚本]
ステファン・カンツ
ラインハルト・クルース
[音楽]
ノルベルト・ユルゲン・シュナイダー
[美術]
モニカ・バウアー
[編集]
ハンネス・ニーケル
[衣装デザイン]
ベルント・ストッキンジャー