酒を断った初老の男と酒に溺れる若い男。
意気投合した二人が酔って巻き起こす大騒動を描くドラマ。

冬の猿

UN SINGE EN HIVER

1962  フランス

105分  モノクロ



<<解説>>

ギャバンとベルモンド。フランスの新旧のスターの顔合わせが楽しめるシリアス・ドラマ。タイトルは、冬になると親のいない子猿が山から下りてくる、という中国のおとぎ噺に由来している。日本での劇場公開は、製作から34年後の1996年。
『失われた週末』に代表される酒飲みの姿を描いた作品は、酒を絶てない人間の弱さを批判的に描き、結果的に物語が破滅へ向うことが多いようだ。本作も、酒に溺れる人間たちの哀愁を描いているが、それを責めたり護ったりすることを目的としてない。酒を媒介として、思い出に生きる男たちの姿を大人の寛容さで包み込んだ良質のドラマに仕上がっている。
酔いが回りはしゃぎ回る少年のような姿と、酔いが覚めて落ち着き払ってる姿のギャップは痛々しい。しかし、そのような痛み伴ないながらも、彼らが進むべき道を選ぶ結末は、晴れやかな余韻を残す。



<<ストーリー>>

第二次大戦中のノルマンディー。ホテルを営むアルベールは大酒飲み。酔っ払っては、中国に遠征していた水兵の頃に思いを馳せていた。上陸作戦の前夜、空襲の中でアルベールは、妻のジュザンヌから、自分が町の皆から馬鹿にされていることを教えられた。アルベールは酒を断つことを誓った。
それから十五年後、初老のアルベールの営むホテルに、ガブリエルという若者が泊まった。ガブリエルは酒癖が悪く、酔いが回るとスペインの恋人のことを思い出して大暴れ。周囲を鼻白ませるその姿は、若き日のアルベールの姿に似ていた……。



<<キャスト>>

[アルベール・カンタン]
ジャン・ギャバン

[ガブリエル・フーケ]
ジャン=ポール・ベルモンド

[シュザンヌ・カンタン]
シュザンヌ・フロン

[ヴィクトリア]
ガブリエル・ドルジア

[クラウフール]
シャルル・ブイロー

[エノー]
ポール・フランクール

[青ひげ]
ノエル・ロクヴェール



<<スタッフ>>

[監督]
アンリ・ヴェルヌイユ

[製作]
ジャック・バール

[原作小説]
アントワーヌ・ブロンダン

[脚本]
フランソワ・ボワイエ

[台詞]
ミシェル・オーディアール

[撮影]
ルイ・パージュ

[音楽]
ミシェル・マーニュ

[美術]
ロベール・クラベル

[編集]
モニケ・ボノ
フランソワーズ・ボノ

[音響]
ジャン・リュール