将来の指導者の命を守るため、再び未来からターミネーターが送り込まれた。
ターミネーターと変幻自在の新型マシンの闘いを描くSFバイオレンス・アクション。

ターミネーター2

TERMINATOR 2
JUDGEMENT DAY

1991  フランス/アメリカ

137分  カラー



<<解説>>

シュワルツェネッガーの出世作の続編で大ヒットした作品。通称『T2』。物語は公開時より少しだけ未来を舞台とし、前作の主人公サラの息子で将来の人類の指導者であるジョンの命と、三年後に「審判の日」を迎える人類の存亡を懸け、二体のターミネーターの壮絶な戦いを描いていく。
同監督の『エイリアン2』の前例がある通り、アクション映画の続編となれば、火力やバイオレンスなどの量的なパワーアップが予想される。もちろん、本作も、低予算だった前作と比べれば、同シリーズとは思えないほどアクションがド派手になっている。しかし、本作はそれだけでなく、シリーズの顔であるターミネーター“T−800”の役柄を、主人公の命を狙う完全無欠の悪役から、主人公の命を守る正義のヒーローというまったく逆の役柄に変え、続編のセオリーを真っ向から打ち破っているところが意欲的だ。
本作の最大の売りであり見所でもあるのは、新型ターミネーター“T−1000”を表現した脅威のSFX。液体金属の体を持ち、変幻自在に形を変えるというアイデアは、CGというツールがあったからこそ生まれたもの。既に前作『アビス』でも見せたCGアニメーションをさらに発展させた映像は、画期的なアイデアのみ終わるのではなく、液体金属という設定を生かした数々の名シーンを生みだし、SFXを見慣れた観客にも大きな衝撃を与えた。
T−1000はCG頼みの映像処理で作り上げられているが、T−800の製作には、前作から引き続き特殊メイク・アーティストのスタン・ウィンストンが参加。手作りで仕上られたターミネーターの造型はさらに精巧になった。また、“T−1000”が人間の姿をコピーする場面では、映像の合成を使わずに双子を起用(リンダ・ハミルトンの双子姉妹も出演)。これらのローテクの併用が功を奏し、CGを前面に押し出した作品でありながら、画面に生々しい迫力を与えている。
前半のバイクとトレーラーのチェイスから、クライマックスの製鋼所での死闘まで、ノンストップで見せるアクションの連続が凄まじいが、バイオレンスで畳み掛ける一方で、メッセージ性のあるドラマも楽しめる。前作のドラマは、時空を越えたロマンスを中心としていたが、本作は「機械の自我」をひとつのテーマとし、自我に目覚めて人類を滅ぼしたスカイネットとは対象的に、人命の大切さを学んでいくターミネーターの姿を描くというヒューマンな味付けが光っている。ジョン少年とターミネーターの心の交流が感動的なので、ファミリー向けとまでは行かないまでも、家族そろって楽しめる作品と仕上がっている。
ドラマ部分に関して言えば、後に16分の未公開映像を追加し発表された『特別編』で、さらに詳しく補強されている(ターミネーターが笑顔を学習する場面や、ターミネーターのプログラムを再起動する場面など、重要な場面が満載)。



<<ストーリー>>

1994年。83年に起きた連続殺人事件の生き残りサラは、未来からやってきた人型殺人マシン“ターミネーター”の存在を主張していたが、誰も彼女の話を信用せず、長らく精神病院に収容されていた。シルバーマン博士から繰り返し、事件のことや警察の監視カメラに移っていた大男の正体について尋ねられていたサラは、自分の話がすべて妄想であることを認めつつあったが、密かに病院からの脱走を考えていた。
サラには、ターミネーターとの戦いで命を落とした未来の兵士リースとの間に、ジョンという息子がいた。ジョンは将来、機械の反乱により人類が滅亡した後、人類側のリーダーとなるはずである。ターミネーターとの戦いの後、中南米へ渡ったサラは、ジョンをリーダーにするたに役に立つそうならば、誰とでも寝た。やがて、帰国したサラは逮捕され、精神病院に入れられたのだ。サラが病院にいる間に養子に出されていたジョンは、母から教わった方法で盗みを繰りかえす不良少年になっていた。
いつものように、盗んだ金を手にゲームセンターで遊んでいたジョンは、自分を探す警官の姿に気付いた。ジョンは裏口から逃げようとするが、目の前に大男が現れ、行く手を塞がれた。すると、男は突然ショットガンを取り出し、後から追ってきた警官の胸を打ち抜いた。だが、驚くべきことに警官の胸の傷はみるみるうちにふさがり、元通りになってしまった。警官と大男が格闘をしている隙に、ジョンはバイクで店を脱出するが、警官がトレーラーで執拗に追跡してきた。ジョンはトレーラーに追いつかれそうになが、先ほどの大男がバイクで現れ、危ないところを助けられるのだった。
ジョンは、警官から自分を助けてくれた大男が、以前よくサラが話してくれたターミネーターであることに気付いた。ターミネーター“サイバーダイン101型(T−800)”は、35年後のジョンから現代のジョンを守るようプログラムされ、未来から送りこまれたのだと語った。あの警官は、機械側がジョンを殺すために送り込んできた“T−1000”という最新型のマシンで、流体多結晶合金、いわゆる液体金属の体は、一度触れたものには何にでも姿を変えられるのだという。
夜になり、ジョンは自宅に電話をかけた。だが、既に先回りしていたT−1000により保護者のヴォイト夫妻は殺された後だった。ジョンが帰宅しないとなれば、T−1000は病院のサラに化けて待ち伏せするはずだ。ジョンは、ターミネーターが自分の命令だけを利くようプログラムされていることを知ると、サラを助けに行くよう命じた。また、ジョンは作戦を行なう上での条件して、決して人を殺さないことをターミネーターに約束させた。
深夜の精神病新。シルバーマン博士の尋問を終え、病室に戻されたサラは、口に含んでいたピンを使い病室のドアを開けた。サラはシルバーマン博士を人質に病院を脱走しようとするが、医師の反撃に遭い、病院内を逃げ回ることに。廊下を走り抜りぬけていったサラだったが、目の前のエレベーターから現れたターミネーターの姿に驚愕。あの時の恐怖を蘇らせ、パニックに陥った。追ってきた医師に捕まったサラは、駆けつけたジョンとターミネーターに助け起こされるが、その時、三人の前にT−1000が現れた。ジョンたちは地下駐車場に降りると、警官から奪ったパトカーで病院を脱出。T−1000はそのパトカーにすがりき、ジョンに襲い掛かった。ターミネーターはT−1000の腕を破壊し、車から放り出したのだった。
T−1000をまいたジョンたちは、廃ガススタンドで一夜を明かした。翌日、ジョンたちは、T−1000との戦いに備えるため、サラの友人であるメキシコのエンリケ一家を訪ね、武器を調達した。ターミネーターの説明では、サイバーダイン社の開発部長のダイソンという男が、近々“スカイネット”というコンピーター・システムを開発するのだという。“スカイネット”は軍のコンピューターに採用されるが、3年後の97年にシステムが自我に目覚め、人類を滅ぼしてしまうのだ――それは、必ず訪れる未来なのだろうか? リースがいつか言っていた「運命は自分の手で変えられるもの」という言葉を思い出したサラは、覚悟を決めると、ジョンに何も告げずに何処かへ出かけていった……。



<<キャスト>>

[ターミネーター]
アーノルド・シュワルツェネッガー

[サラ・コナー]
リンダ・ハミルトン

[T−1000]
ロバート・パトリック

[マイルス・ベネット・ダイソン博士]
ジョー・モートン

[ジョン・コナー]
エドワード・ファーロング

[ピーター・シルバーマン博士]
アール・ボーエン

[タリッサ・ダイソン]
S・エパタ・マーカーソン

[エンリケ・サルセダ]
カストゥロ・ゲッラ

[ティム]
ダニー・クックシー

[ジャネル・ヴォイト]
ジャネット・ゴールドスタイン

[トッド・ヴォイト]
ザンダー・バークレイ

[サラ・コナー]
レスリー・ハミルトン・ゲーレン

[ルイス]
ドン・スタントン

[ルイス(T−1000)]
ダン・スタントン

[SWAT隊長]
ディーン・ノリス



<<スタッフ>>

[共同製作]
B・J・ラック
ステファニー・オースティン

[脚本]
ジェイムズ・キャメロン
ウィリアム・ウィッシャー

[製作総指揮]
ゲイル・アン・ハード
マリオ・カサール

[撮影]
アダム・グリーンバーグ

[音楽]
ブラッド・フィーデル

[美術]
ジョゼフ・ネメック三世

[編集]
コンラッド・バフ
マーク・ゴールドブラット
リチャード・A・ハリス

[衣装デザイン]
マルレーネ・スチュワート

[特殊メイク/“ターミネーター”効果製作]
スタン・ウィンストン

[ILM視覚効果監修]
デニス・ミューレン

[CGアニメーション監修]
スティーヴ・ウィリアムズ

[視覚効果監修助手]
マーク・A・Z・ディッペ

[CGイメージ]
インダストリアル・ライト・アンド・マジック

[特殊視覚効果]
ファンタシーUフィルム・エフェクツ

[キャスティング]
マリ・フィン

[製作/監督]
ジェイムズ・キャメロン