ダメ選手ばかりが集まったプロ野球チームが、優勝目指して奮闘する様を描くスポーツ・コメディ。

メジャーリーグ

Major League

1989  アメリカ

107分  カラー



<<解説>>

トム・ベレンジャーとチャーリー・シーン主演のヒット・コメディ。「メジャーリーグ」という大そうなタイトルを掲げながら、フタを開けてみれば、落ちこぼれチームの奮闘記という、ややセコい内容。簡単に言ってしまえば、『がんばれ!ベアーズ』の大人版でなのである。“ベアーズ”の子供たちはかわいげのなさが魅力だったが、“インディアンス”の中年男たちのかわいげのなさはその比ではない。ロッカールームのシーンのムサいことといったら、それはもう酷いものだが、その中年の哀愁が笑いどころであり、本作の魅力のひとつとなっている。また、ジェームズ・ギャモン扮するダミ声監督をはじめ、様々なクセ者を演じた俳優たちの個性もいかんなく発揮されていて、とにかくノリで楽しませてくれる痛快作だ。
物語は、新オーナーがチームをマイアミに移そうとするところから始まる。マイアミに行きたい新オーナーだが、現在の本拠地クリーヴランドから離れるには、市との取り決めにより、観客動員数を一定以下に抑えなければならない。そこで、新オーナーは悪知恵を働かせ、「最低のチーム」を結成させることを画策。こうして集められたダメ選手たちは、新オーナーの企みとは裏腹に、次第に実力を発揮していく――ニクいほどにお約束的な展開を見せながらも、ダメ選手が集められるという状況の必然性と、優勝を目指すだけの動機付けが巧み。良くできたホラ話として素直に受け入れられる程度の程良いリアリティが絶妙だ。一方で試合シーンは、リアリティよりエンターテインメント性を追及。多用されるスローモーションの演出が良く映える。
ここまでなら、よくある能天気なスポーツ・コメディのひとつといったところだが、本作が数あるスポーツ映画の中でも光っているのは、選手と観客との一体感をよく伝えているところ。スポーツ映画の多くは、選手間や選手と家族のドラマを描くことに偏りがちになってしまうが、本作は、前半の開幕戦から後半の最終戦まで、次第に増えていく観客の表情や熱狂をしっかりと描いているのである。特に、クライマックスで、C・シーン扮するピッチャーの登場を、観客が「ワイルド・シング」の合唱で迎えるシーンはさながらコンサートのようだ。「プロ・スポーツはお客さんのもの」と、改めて思わされる本作は、プロ野球の楽しさを最も的確に伝えた一作であり、それが、本作を定番作としている所以であるのかもしれない。



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