<<ストーリー>>

日本の東京。ハリウッド映画スターのボブ・ハリスがこの奇妙な街にやってきたのは、200万ドルのCM出演のギャラを得るためだったが、他にも理由があった。ボブがホテル・パークハイアットに到着したその日は、息子のアダムの誕生日。もう一つの理由とは、妻と子供から逃げるためだった。礼儀正しい日本人通訳やクライアントと社交辞令を交わしたボブが、はじめにスタッフから渡されたのは、妻のリディアからのファックス。その後も、ボブの部屋には次々とリディアからのファックスが送信されてきた。東京に来ても妻からは逃れられないのだ。ホテルの最上階のバーは、ボブの格好の避難場所となった。
翌朝、ボブはエレベータで、日本人の集団の中に若い白人女性を見つけた。ボブが女性を見つめていると、女性はこちらにわずかに振り向き微笑んだ。ボブが出会ったその女性シャーロットは、結婚二年目になる人妻。大学を出てすぐに結婚したため、世間に疎シャーロットは、自分が何をして生きれば良いのか分からず、漠然とした不安を常に抱いていた。今回の来日も、退屈しのぎのため、プロカメラマンである夫の仕事に着いてきただけだった。だが、仕事で忙しく飛び回っている夫のジョンは、ホテルにほとんど居ることはなく、シャーロットはひとりぼっちだった。仕方なく、ひとりで出かけていって、寺を訪ねたり、生け花に挑戦してみたものの、何も感じず、少しも面白くないのだった。
CFの撮影をどうにか無事に終えたボブは、今度は、日本のジョニー・カーソンだというタナベ・モリのトーク・ショーに出演して欲しいと頼まれた。だが、三日目の朝にして、既に東京での生活にくたびれてしまったボブは、エージェントのフレッドに、番組の収録のある金曜より前に帰りたい旨を伝えた。その夜、いつものようにホテルのバーでひとりで飲んでいたボブは、若い女性から一杯の酒を送られた。見ると、相手の女性は昨日、エレベータで見かけた女性だった。
翌朝、シャーロットは、仕事に出掛けるジョンをロビーまで送っていった。ロビーには、偶然、アクション映画のプロモーションで来日していた女優ケリー・ストロングがいた。ジョンは友人同士のケリーと話すことに夢中になり、シャーロットが側にいることも忘れてしまっているようだった。シャーロットの疎外感も関せず、ジョンはケリーと飲みに行く約束を交わすと、さっさと仕事に出かけていった。ジョンを見送ったシャーロットは、また、部屋でひとりきりで人生について考えることになったのだった。
その夜、シャーロットは眠りに落ちたジョンの横で、いつまでも眠れないでいた。別の部屋ではボブも寝付けずにいて、テレビをぼんやりとながめていた。テレビを消して、バーに向かったシャーロットは、自分と同じような経緯でバーにやって来ていたボブと隣り合わせに座った。二人が言葉を交わしたのは、エレベータで出会って以来はじめてだったが、すぐに打ち解け、それぞれの身の上を語り合ったのだった。
翌日の夜、シャーロットは昨日の約束どおり、ジョンとケリーやその友達とバーに飲みに出掛けた。だが、やっぱり、ケリーたちの語るヒップホップや腸内洗浄の話題にはついていけず、偶然、近くのカウンターにいたボブのところへ批難した。ボブはシャーロットを見ると、「脱獄を計画している」と言った。シャーロットはボブの言葉に乗っかり、翌日、東京の友達のチャーリーのところへ一緒に出かけようと誘ったのだった。
ラフな格好に着替えたボブは、一人で部屋にいたシャーロットを訪ねた。そして、夜の東京の街に繰り出し、チャーリーのパーティに乗り込んでいった。二人がチャーリーや彼の友達と飲んだりしゃべったりしていると、誰かが突然、モデルガンを乱射し始めた。外に批難したボブとシャーロットは、商店街やパチンコ屋を走り抜けた末、先に行っていたチャーリーと合流。ボブとシャーロットは、チャーリーたちと夜遅くまでカラオケを楽しんだ。ホテルに戻ったのは午前四時だった。……。



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