亡き父の後を継ぎドンとなった息子マイケルは堅気の家業に乗り出すが、
彼の意向とは裏腹に再び血で血を洗う抗争が勃発してしまう。
苦悩するマイケルの姿に、父ビトーの青年時代を重ね合わせて描く続編。
ゴッドファーザー PARTU
THE GODFATHER PART II
1974
アメリカ
200分
カラー
<<解説>>
あるマフィア・ファミリーの衰勢を描いた巨編『ゴッドファーザー』の続編。原作、脚本のマリオ・プーゾ、音楽のニーノ・ロータ、撮影のゴードン・ウィリス等、主要スタッフは前作と同じ。前作でドン・“ゴッドファーザー”・ビトー・コルレオーネを演じたマーロン・ブランドは出演していないが、彼の若かりし頃の役として、当時無名のロバート・デ・ニーロが抜擢。彼の出世作にして、ブランドにも迫る神がかり的な演技を見せている。
物語は前作の続きから始まる。父を継いでドンになった三男マイケルが、ファミリーの事業を堅気へ向けさせようとするが、それが原因で家族がバラバラになり、再び殺戮が始まってしまう。今回の見どころは、家族をまとめていく困難さに悩んだマイケルが、偉大な亡き父ビトーに思いを馳せるという回想を導入しているところで、前作では謎めいた人物であったビトーの人間性に迫っていく。シチリアからアメリカへ渡ってきたビトー少年が、新天地でマフィアとして上り詰めていく様が、マイケルを中心とする現在のエピソードと同時的、重層的に描かれ、ビトーが築き上げていく家族の姿と、息子の世代でまさに崩壊しようとしている家族の姿を対比。前作とは別のアプローチで“家族の愛と絆”を描くと共に、大河ドラマとしての「ゴッドファーザー」を決定付けた。また、コルレオーネ一家の姿に、移り行くアメリカの姿を重ね合わせることで、“裏”アメリカ現代史を総括してみせるような趣向も面白い。肩に力の入りまくっていた前作と較べて演出が端正になっただけでなく、傑作の続編という重圧を跳ね除けるように、見せ場の連続と物語の新たな解釈を盛り込んだ本作は、さらに深みのある奇跡的な傑作となった。
本作は前作に引き続きアカデミー作品賞をはじめ、六部門で受賞。シリーズの正編、続編共に作品賞に輝いた作品としては、唯一のもである。また、映画史的には、前作より本作のほうが評価されているようだ。別バージョンとしては、『ゴッドファーザー』と『PARTU』を時系列で再編集した上、未公開シーンを加えたテレビ映画「ゴッドファーザー 特別完全版」が作られている。さらに、『PARTV』発表後に作られた"THE GODFATHER TRILOGY"は、全三作をまとめた日本未発表のビデオ用作品で、その完全版は上映時間が12時間近くもあるという。
<<ストーリー>>
後の“ゴットファーザー”ビトーは、シチリア島のコルレオーネ村で生まれた。幼い頃に、村のドンであるチッチオに両親を殺されたビトーは、島を脱出し、アメリカへ逃げてきた。移民としてアメリカに迎え入れられたビトーは、住んでいた村の名で名簿に登録されたのだった。
ビトー・コルレオーネが死んだ後、父の後を継いだ息子のマイケルは、裏の仕事から離れてホテル経営などをしていた。だが、ファミリーの一人フランク・ペンタンジェリだけは、ハイマン・ロス率いる対抗組織との抗争を望んでいた。フランクの要望を聞き入れなかったマイケルは、その夜、自宅で何者からの銃撃を受けた。マイケルは、暗殺未遂が自分を恨んで裏切ったフランクの仕業だとするが、ロスに情報を漏らしていた裏切り者は兄のフレドーだった。フランクは、パーティの最中にロスを暗殺しようとするが、失敗。フレドーにも逃げられてしまった。
ニューヨークの下町で暮らすことになったビトーは、やがて、青年に成長。既に妻を迎え、子供も生まれていたビトーは、生活のために不法な商売をしていたが、そのために、町のドンであるファヌッチに睨まれていた。ある日、ビトーは、ファヌッチに稼いだ金を脅し取られそうになった。だが、反対にファヌッチを射殺したのだった……。
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