シチリア島をルーツとするマフィア・ファミリーの内幕と、
ファミリーのドン“ゴッドファーザー”の愛と死を描くドラマ。
ゴッドファーザー
THE GODFATHER
1972
アメリカ
175分
カラー
<<解説>>
イタリア系移民による犯罪組織“マフィア”の姿を描き切った本作は、コッポラ監督の代表作であるだけでなく、映画史に燦然と輝く傑作となった。「男の子は皆この映画が好き」とまではいかないまでも、男性的な美学が貫かれた本作をバイブル視するファンも多い。また、コッポラ監督に「重厚な作品を得意とする巨匠」というイメージを、良くも悪くも定着させることになった。
マフィア・ファミリーの頂点に君臨し、“ゴッドファーザー”という呼称で畏怖されるドンとは、いかなる存在なのか? 結婚式の最中に、友人からの悩みを冷淡な態度で解決していくドンの姿を描き、“ゴッドファーザー”なる人物を印象付けた冒頭のシークエンスから堂々たる迫力に溢れている。ちなみに、『ゴッドファーザー』の中でも最もインパクトのある馬の生首のシーンは、シナトラがマフィアを頼って『地上より永遠に』への出演を決めた時のエピソードであると伝えられている。
本作が、72年に発表されて以来、ギャング・マフィア映画として、未だに他の追随を許していない所以には、主に二つの理由が挙げられる。まず、アメリカ映画でありながら、イタリア・シチリア文化がリアルに描かれている点である。物語は、血で血を洗う凄惨な抗争が大部分を占めているが、その背景にあるのは、シチリア人の同胞の掟と、家族の絆である。つまり、本作は、ギャング・マフィア映画である以前に、家族映画なのである。そして、そうしたシチリア人の厳然としたルールに基いた完璧と言える脚本が、物語の重厚さと迫真さを生み出しているのである。
もう一つの理由は、“罪と罰”、“生と死”、“友愛と対立”といった相反するモチーフのバランスである。つまり、暴力が描かれれば、それに釣り合うを計るように愛が描かれ、同様に、死が描かれれば、それに釣り合うを計るように生が描かれるのである。それは、暗部と明部の差を強調した映像、そして、赤ん坊の洗礼式と暗殺の様子を交互に見せる圧巻のクライマックスに顕著に表れている。本作は、暴力や犯罪を描いただけの作品ではなく、ましてや、映画的な理想を描いただけの作品でもない。マフィア・ファミリーの姿を借りて、人間が抗えない“自然の摂理”というものを凝縮させてを描いているからこそ、本作は、強く心に訴えかけるのである。
<<ストーリー>>
コルレオーネ家の娘コニーの結婚式の最中、書斎で訪問客の頼みを聞いているコニーの父ビトーの姿があった。その男は、“ゴットファーザ”と呼ばれる人物で、ファミリーと共にアメリカで裏社会を牛耳っていた。どんな問題も解決できるだけの絶大な影響力を持っていたビトーだったが、麻薬の密売を行なっているソロッツォだけが気になる存在だった。
ある日、ビトーは、ソロッツォから仕事の上での提携を求められた。だが、麻薬に関わった場合の信頼の損失を考えるビトーは、ソロッツォと組むつもりはなかった。協力を拒まれたソロッツォは、その時からビトーを邪魔者扱いし始めた。そして、ビトーはソロッツォの手下の銃撃を受け、重傷を負った。その一方で、ソロッツォは、コルレオーネの顧問であるトム・ハーゲンを引き抜こうとしていた。
ソロッツォの後ろ盾は、コルレオーネと敵対するタッタリア・ファミリーで、コルレオーネの長男ソニーは、タッタリアが父に挑戦しているものと考えた。ソニーは報復にタッタリアの息子ブルーノを殺害。堅気の生活に就くつもりでいた三男マイケルも、父の危機を知ると、ソロッツォと決着をつけることを決意。そして、停戦を申し入れてきたソロッツォとレストランでの話し合いをしている最中、いきなり彼を射ち殺した……。
<<キャスト>>
[ドン・ビトー・コルレオーネ]
マーロン・ブランド
[マイケル・コルレオーネ]
アル・パチーノ
[ソニー・コルレオーネ]
ジェイムズ・カーン
[ピーター・クレメンザ]
リチャード・カステラーノ
[トム・ヘイゲン]
ロバート・デュヴァル
[マーク・マクラスキー署長]
スターリング・ヘイドン
[ジャック・ウォルツ]
ジョン・マーレイ
[エミリオ・バルジーニ]
リチャード・コンテ
[ヴァージル・ソロッツォ]
アル・レッティエリ
[ケイ・アダムス]
ダイアン・キートン
[サル・テッシオ]
エイブ・ヴィゴーダ
[コニー]
タリア・シャイア
[カルロ・リッジ]
ジャンニ・ルッソ
[フレドー]
ジョン・カザール
[カーマイン・キュネオ]
ルディ・ボンド
[ジョニー・フォンテーン]
アル・マルティーノ
[ママ・コルレオーネ]
モーガナ・キング
[アル・ネリ]
リチャード・ブライト
[モー・グリーン]
アレックス・ロッコ
[ブルーノ・タッタリア]
トニー・ジョルジオ
[ナツォリーネ]
ヴィト・スコッティ
[テレサ・ヘイゲン]
テレ・リヴラーノ
[フィリップ・タッタリア]
ヴィクター・レンディア
[アポロニア・ヴィテッリ=コルレオーネ]
シモネッタ・ステファネッリ
[ファブリツィオ]
アンジェロ・インファンティ
[カルロ]
フランコ・チッティ
<<スタッフ>>
[監督]
フランシス・フォード・コッポラ
[製作]
アルバート・S・ラディ
[製作補]
グレイ・フレデリクソン
[原作小説]
マリオ・プーゾ
[脚本]
フランシス・フォード・コッポラ
マリオ・プーゾ
[撮影]
ゴードン・ウィリス
[音楽]
ニーノ・ロータ
[追加音楽]
カーマイン・コッポラ
[美術]
ディーン・タヴラリス
[編集]
ウィリアム・レイノルズ
ピーター・ツィンナー
[衣装デザイン]
アンナ・ヒル・ジョンストン
[キャスティング]
ルイス・ディジャイモ
フレッド・ルース
アンドレア・イーストマン