ある夫婦が自宅に居候させた青年は、自分を捨てた親に恨みを抱いていた。
青年の復讐に巻き込まれた夫婦の恐怖を描くサイコ・スリラー。

同居人
背中の微かな笑い声

NATURAL ENEMY

1997  カナダ/アメリカ

92分  カラー



<<解説>>

『パシフィック・ハイツ』、『ゆりかごを揺らす手』等と同様、異常者と同居するというサイコものの定番のシチュエーションの作品。児童虐待や近親相姦といったインモラルなイメージが散りばめられた過激な内容だ。恐ろしい復讐を計画する青年役に、『コピーキャット』でも異常者を演じていたウィリアム・マクナマラ。また、事件の黒幕や重大を秘密を握る役柄の多いドナルド・サザーランドが、何の罪も無い巻き込まれ役を演じているのにも注目。本作はカナダでテレビ放映用に製作されたが、日本では劇場公開された。
自分を捨てた親への復讐の手段として、肉親としては最も屈辱的と言える、セックスを利用するところが、他のサイコものにはない面白さ。血の繋がって“いない”親子の愛情と、血の繋がって“いる”親子の憎悪が同時に描かれているところも皮肉めいている。しかし、ただ過激な作品なのではなく、悲劇的な事件が、複雑化した欧米の家族関係に端を発していて、そのような背景もフォローされている点では、見かけよりも社会派の作品となっている。



<<ストーリー>>

株ブローカーのテッドは、妊娠中の妻サンディと養子クリスと三人暮らし。ある日、テッドは、信頼する部下ジェレミーがアパートの家賃が払えなくなり困っていることを知り、自分の家に来るようにすすめた。ジェレミーは同棲中の恋人ジーナと一緒に、建築家のサンディによって改築中である家に居候することになった。ジェレミーは、幼い頃に養子に出され、両親のことはいっさい知らされていないという不幸な身の上。また、偶然にも、サンディは二十五年前に、高校時代の恋人スタンリーとの間に出来た男の子を養子に出していた。
サンディは生き別れた供のことが気になり、「養子の権利を守る会」のクリスティーナに調査を依頼した。一方、ジェレミーが家にやってきてからというもの、テッドとサンディの周囲で奇妙なことが起こるようになった。国税局の査察が入る前日には、テッドの事務所が何者かに荒らされた。止むを得ず、テッドは査察を拒否するが、翌日には、なぜかその出来事が新聞に載ってしまった。帰宅したサンディが突然の発作に襲われた時、家に強制捜査が入った。ショックで倒れたサンディは、流産してしまった。
病院で治療を受けたサンディは、ジェレミーに疑いを持つようになった。その頃、テッドの家には、サンディとスタンリーの子供についての報告のため、クリスティーナが訪ねてきていた。だが、彼女の応対をしたのは、クリスの振りをしたジェレミーだった……。



<<キャスト>>

[テッド・ロバーズ]
ドナルド・サザーランド

[ジェレミー・ハーパー]
ウィリアム・マクナマラ

[サンディ・ロバーズ]
レスリー・アン・ウォーレン

[クリス・ロバーズ]
クリスチャン・テシエ

[ジーナ]
レノア・ザン

[ジュディ]
ローズマリー・ダンスモア

[スチュアート]
ジョー・パントリアーノ

[クリスティーナ・ダメリオ]
ティア・カレル



<<スタッフ>>

[キャスティング]
ナディア・ロナ
ヴェラ・ミラー
ロシーナ・バッシ

[編集]
イヴ・ラングロワ

[音楽作曲]
アラン・リーヴス

[美術]
サバ・ケルテツ (サバ・アンドラス・ケルテツ)

[衣装デザイン]
フランソワ・ラプランテ

[撮影]
ロドニー・ギボンズ

[製作監修]
スチュワート・ハーディング

[製作総指揮]
エリー・サマハ

[脚本]
ケヴィン・ベルンハルト

[製作]
ニコラス・クレアモント

[監督]
ダグラス・ジャクソン