老いを恐れる父親と、彼と不仲にある娘が湖畔の別荘で過ごした日々を、
あたたかい眼差しで綴ったホーム・ドラマ。
黄昏
On Golden Pond
1981
アメリカ
109分
カラー
<<解説>>
アーネスト・トンプソンの舞台を原作とし、家族間の不和の問題をストレートに表現した作品。舞台を人里離れた土地に設定したことによって、家族以外の第三者が割り込めない状況を作り出し、物語は、父と娘がまっすぐ向かい合う姿に焦点を絞られている。和解を望みながら、素直にそれが出来ない不器用な父娘の姿をあたたかく見守る仲介役には、往年の大女優キャサリン・ヘプバーンが迎えられた。だが、実質、父を演じたヘンリー・フォンダと、娘を演じたジェーン二人の映画となっている。
物語の鍵となる人物は、娘の婚約者の息子。年老いた父が、やがて孫になる子供と打ち解けていく過程で、娘が幼い頃のことを思い出していく。と、同様に娘は、父と義理の息子の姿を見て、父と過ごした懐かしい日々のことを思い出していく。その時、娘は、自分が父に反目してきた本当の理由に気付かされることになるのである――ただ、父と娘の葛藤の日々を描くだけでなく、そこから一歩進んで、二人の葛藤や交流の持つ大事な意味にも気付かされてくれる脚本が見事だ。ちょっとドッキリさせるラストも深い余韻を残す。
ヘンリーとその実の娘ジェーンが実生活でも不仲であったことは有名。それは、ヘンリーの女癖の悪かったことに気を病んだ妻が自殺したという悲劇に端を発していると伝えらているが、父との歩み寄りを望み、この作品への出演に誘ったは意外にも娘のジェーンの方だったという。そういった裏話を踏まえれば、本作は、セミドキュメンタリーとして観ることも可能であり、感動もいっそうの深いものになるはずである。
<<ストーリー>>
ニューイングランドの美しい湖“ゴールデン・ポンド”。湖ののほとりにある別荘に、ノーマン・サイヤーとエセルの老夫妻がバカンスにやってきた。ノーマンは大学教授だったが、近頃、物忘れが激しくなっていることをに気づき、自分の老いにおびえきっていた。
そんなある日、ノーマンと不仲にある娘チェルシーが、婚約者のビルとその息子のビリーを連れて、別荘を訪ねて来た。ノーマンは、久しぶりに会った娘との接し方が分からず、婚約者に対しても意地の悪いことばかり言ってしまった。チェルシーは、そんな父親を誤解し、「とんでもないエゴイスト」と評価を下すのだった……。
<<キャスト>>
[エセル・サイヤー]
キャサリン・ヘプバーン
[ノーマン・サイヤー・ジュニア]
ヘンリー・フォンダ
[チェルシー・サイヤー・ウェイン]
ジェーン・フォンダ
[ビリー・レイ]
ダグ・マッケオン
[ビル・レイ]
ダブニー・コールマン
[チャーリー・マーティン]
ウィリアム・ラントゥ
<<スタッフ>>
[製作監修]
テリー・カー
[衣装]
ドロシー・ジーキンス
[音楽]
デイヴ・グルーシン
[編集]
ロバート・L・ウォルフ
,A.C.E.
[美術]
スティーヴン・グライムズ
(スティーヴン・B・グライムズ)
[撮影]
ビリー・ウィリアムズ
,B.S.C.
[脚本/原作戯曲]
アーネスト・トンプソン
「ゴールデンポンドのほとり」
[製作]
ブルース・ギルバート
[監督]
マーク・ライデル