江戸の釣り好きの素浪人・浜崎は、ひょんなことから庄内藩に仕えることに。
「釣りバカ日誌」時代劇版。
シリーズ通算12作目。

花のお江戸の
釣りバカ日誌

1998  日本

118分  カラー



<<解説>>

64年の『花のお江戸の無責任』は、植木等の「無責任」シリーズの時代劇版とも言える作品。と来れば、平成の無責任男・西田敏行asハマちゃんも時代劇をやらなくてどうする?――という動機があったのかどうかは定かでないが、本作は「釣りバカ」シリーズを時代劇パロディにした特別編。『釣りバカ日誌10』のすぐ後に公開された作品で、(『釣りバカ日誌S』も含めれば、)通算では12作目に相当する。
舞台は江戸末期。時代は変われど、現実の社会情勢を反映し、不景気な世の中という設定に変わりがない。シリーズでおなじみの面々が現代版と似たような役を演じているのが愉快で、茉奈佳奈、ダチョウ倶楽部など、テレビの人気者が多数、カメオ的に登場するのもお楽しみとなっている。後半は、ハマちゃんとスーさんの庄内への旅を描き、曲者とのチャンバラ・シーンを見せるなど、時代劇ならではの工夫が凝らされている。
物語は、浜崎と鈴木が出会う以前から始まる。そのまま、第一作の展開をなぞるのかと思いきや、鈴木が陰謀に陥れられるという意外な展開を見せる。しかし、いちばん意外なのは、浜崎が独身という設定で、みち子さん以外の女性と恋に落ちるということ。特別編であるからこそ描けた“主人公の恋愛”。通常の「釣りバカ」シリーズでは描ないその要素を観ることができるという点では、ファンサービス以上の収穫があるかもしれない。
ちなみに、『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』と、近年は本格時代劇に肩入れしている山田洋次にとって、本作は、66年の『運が良けりゃ』以来の久々に手がけた時代劇となった。



<<ストーリー>>

江戸末期。財政難に苦しむ庄内藩の江戸家老・鈴木一ノ助は、ある日、釣り好きの素浪人・浜崎伝助と出会い、意気投合した。翌日、浜崎は、鈴木が家老であるとも知らず、庄内藩の仕官の試験に挑戦。浜崎には大した取り得がなかったが、彼の人徳を知る鈴木の一声で、はからずも合格してしまうのだった。
庄内藩に召し仕えるようになった浜崎だったが、仕官の仕事は失敗ばかり。そんなある日、浜崎は、厳しい組頭から自分を庇ってくれた家老おかかえの奥女中・小浪に恋をした。だが、その後、鈴木は幕府から突然、御役御免を言い渡されてしまった。それは、過去に鈴木が収賄で告発した国家老・後藤の復讐であった……。



<<キャスト>>

[浜崎伝助]
西田敏行

[小浪]
黒木瞳

[組頭]
中村梅雀 (二代目)

[大家]
谷啓

[庄内藩主]
市川團十郎 (十二代目)

[数馬]
山田純大

[美津]
酒井法子

[秋山]
加藤武

[原口]
竜雷太

[川島]
小野寺昭

[堀田]
鶴田忍

小野武彦
ミッキー・カーチス
細川ふみえ
三倉茉奈・佳奈
ダチョウ倶楽部
笹野高史
笑福亭松之助
大木こだま・ひびき

[鈴木一之助]
三國連太郎



<<スタッフ>>

[原作]
やまざき十三 ・作
北見けんいち ・画
(小学館『ビッグコミックオリジナル』連載)

[脚本]
山田洋次
朝間義隆

[プロデューサー]
瀬島光雄
中川滋弘
佐生哲雄

[プロデューサー補]
椿宜和
岩田均

[助監督]
小笠原佳文

[撮影]
藤原三郎

[音楽]
和田薫

[美術監督]
西岡善信

[スチール]
金田正

[監督]
栗山富夫



<<プロダクション>>

[製作]
松竹