古代ローマの英雄ジュリアス・シーザーの暗殺を描いたシェークスピアの悲劇の映画化。
ジュリアス・シーザー
JULIUS CAESAR
1970
イギリス
117分
カラー
<<解説>>
“皇帝”の代名詞シーザーの暗殺を描き、「ブルータス、お前もか!」の名台詞でも知られるシェークスピアの悲劇。『スパルタカス』、『クレオパトラ』など、60年代に流行った古代を舞台にした大作史劇の流れを汲んだ作品の中では、比較的新しいもの。「ジュリアス・シーザー」はこれまで幾度となく映画化されてきたが、本作はマーロン・ブランドが主演した1953版以来、久々の映画化となる。1953版で暗殺の首謀者キャシアスを演じたジョン・ギールグッドが、今回は暗殺されるシーザーを演じているのが興味深い。名優チャールトン・ヘストン、ジェイソン・ロバースの大熱演による演説合戦も見どころ。
シーザーの血で手を汚した暗殺者が叫ぶ。「この場面は何度も演じられることになるだろう。様々な国や言語で。そのたびに我々は自由を手にする!」――この、シェークスピアの自信に満ち溢れた台詞が印象的だが、歴史の悲劇が繰り返されることを見通したような重い台詞だ。シーザーの暗殺を中心に描いた物語ではあるが、加えて、権力者に煽られて暴徒と化していく群衆の恐ろしさも描くことで、良くも悪くも世界を変えるのは一握りの人間だけの力ではなく、それに応える市民が変えてゆくのだという、より現実的な教訓を含んだメッセージも伝えている。
<<ストーリー>>
ローマに凱旋してきた英雄シーザー。市民に「神」とあがめられる彼が元老院によって王冠を戴くのは、もはや時間の問題であった。
シーザーの側近で親友でもあるブルータスは、ローマの将来を憂う友人のキャシアスから、シーザーの暗殺を持ちかけられた。これまで、シーザーが推し進めた共和制を擁護してきたキャシアス。だが、彼は、いまやシーザーの目にかつての優しさはなく野心に目覚めている、と非難した。迷っていたブルータスだったが、その夜、キャシアスからの手紙で説き伏せられ、シーザーを殺す決意を固めたのだった。
ブルータス、キャシアス、そして彼に賛同した者たちは、いつものように元老院議会に現れたシーザーに襲いかかった……。
<<キャスト>>
[マーク・アントニー]
チャールトン・ヘストン
[ブルータス]
ジェイソン・ロバース
[ジュリアス・シーザー]
ジョン・ギールグッド
[キャシアス]
リチャード・ジョンソン
[キャスカ]
ロバート・ヴォーン
[オクタビアス・シーザー]
リチャード・チェンバレン
[ポーシャ]
ダイアナ・リグ
[アーテミドウラス]
クリストファー・リー
[カルプルニア]
ジル・ベネット
[デシアス・ブルータス]
デレク・ゴッドフリー
[レピドゥス]
デイヴィッド・ドディミード
[メテラス・シンバー]
マイケル・ゴフ
[詩人シナ]
ピーター・アイアー
[メッサラ]
ポール・ハードウィック
[シセロ]
アンドレ・モレル
<<スタッフ>>
[監督]
スチュアート・バージ
[製作]
ピーター・スネル
[製作総指揮]
アンソニー・B・アンガー
ヘンリー・T・ワインスタイン
[原作戯曲]
ウィリアム・シェイクスピア
[脚本]
ロバート・ファーニバル
[撮影]
ケン・ヒギンズ
[音楽]
マイケル・J・ルイス
[装飾]
モーリス・ペリング
[編集]
エリック・ボイド=パーキンス
[衣装監修]
バーバラ・ギレット