孤島で捕獲された巨大ゴリラ“コング”がニューヨークで大暴れ。
巨大生物映画の古典的名作をリメイクしたSFパニック。

キングコング

KING KONG

1976  アメリカ

134分  カラー



<<解説>>

エンパイアステートビルに登る巨大ゴリラを人形アニメを駆使して描き出した、33年製作の同名映画をリメイク。今回は人形アニメではなく、日本の怪獣映画ではお馴染みの着ぐるみを採用し、生命感ある“コング”を再現している。特殊メイクで“コング”を作り出したのは、現在でも第一線で活躍しているアーティスト、リック・ベイカーで、クレジットはされていないが、自ら“コング”を演じている。
SFX技術の進歩は当然のことだが、致し方のない変化としては、40年の年月がニューヨークをあまりにも発展させてしまったことである。島のパートでは十分迫力のあったコングも、ニューヨークの街の巨大さには飲み込まれてしまう(同じ状況が『ゴジラ』の80年代リメイクでも見られた)。どんなに圧倒的な腕力も持っていても、ここではただ、近代兵器によって駆除される対象となっしまうのである。
コングが登るのは、前作のエンパイアステートビルに代わり、当時のマンハッタンのシンボルだった世界貿易センタービル。33年版のコングはエンパイアを征服したかのような雄姿を見せていたが、今回は巨大すぎるWTCに張り付いただけといった印象になっている(そのWTCも今はなくなっしまったというのも皮肉だが)。コングのかくの如しの弱さは、奇しくも彼の悲哀が前作にも増して強調されることになった。また同時に、コングですら脅威でなくなってしまったほど、人間が怪獣のような力を持ってしまったことへ警鐘を鳴らしているかのようだ。
本作には続編が作られ、2005年には『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンによって新たに再映画化された。先に述べたスケール感の問題を避けるためか、新作では舞台が第一作と同じ30年代に戻されている。



<<ストーリー>>

フレッド率いる石油会社ペトロックス社の調査隊は、二酸化窒素の雲におおわれるスカル島へ油田を探しに向かっていた。船にこっそり同乗していた生物学者ジャックは、スカル島に巨大生物が存在するの可能性に気付いており、フレッドに警告した。途中、フレッドたちは、一人で漂流していた歌手ドワーンを救出した。
やがて、フレッドたちの船はスカル島へ到着した。島は無人島と思われいたが、高い城壁に囲まれた村に住民が暮していて、彼らは“コング”と呼ばれるゴリラを崇拝していた。島の住民はドワーンを見ると、コングへの生贄として彼女をさらっていった。ドワーンの前に現れたコングは、人類がかつて見たことのないほどの巨大なゴリラだった。巨大ゴリラの存在を知ったフレッドは、その捕獲に乗り出した。一方、コングはドワーンのことをすっかり気に入ってしまい……。



<<キャスト>>

[ジャッジ・プレスコット]
ジェフ・ブリッジス

[フレッド・ウィルソン]
チャールズ・グローディン

[ドワーン]
ジェシカ・ラング

[ロス船長]
ジョン・ランドルフ

[ロイ・バグリー]
ルネ・オーベルジョノワ

[ボーン]
ジュリアス・ハリス

[ジョー・パーコ]
ジャック・オハローラン

[サンフィッシュ]
デニス・フィンプル

[ティモンズ]
マリオ・ガッロ

[カーナハン]
エド・ローター

[中国人の給仕]
ジョン・ローン

[市職員]
ジョン・エイガー



<<スタッフ>>

[監督]
ジョン・ギラーミン

[製作]
ディノ・デ・ラウレンティス

[製作総指揮]
フェデリコ・デ・ラウレンティス
クリスチャン・フェリー

[脚本]
ロレンツォ・センプル・ジュニア

[撮影]
リチャード・H・クライン

[音楽]
ジョン・バリー

[美術]
マリオ・キアーリ
デイル・ヘネシー

[編集]
ラルフ・E・ウィンターズ

[メーキャップ効果]
リック・ベイカー

[特殊効果]
カルロ・ランバルディ
グレン・ロビンソン