ロサンゼルスを舞台に刑事“コブラ”と殺人集団の戦いを描くバイオレンス・アクション。
コブラ
COBRA
1982
アメリカ
96分
カラー
<<解説>>
女流ミステリ作家の原作を、主演のスタローンが自らヒーロー・アクションに翻案。「ロッキー」と「ランボー」でキャラを確立したスタローンが新キャラに挑む。監督は『ランボー 怒りの脱出』でも組んだジョージ・パン・コスマトス。共演のヒロインは、前年にスタローンと結婚したばかりのブリジッド・ニールセン。内容の単純明快さもあってテレビで頻繁にかかるが、同じようにテレビの定番であるシュワルツェネッガーの『ゴリラ』と混同されがちではある。
たれ目サングラスに皮ジャンパーという風体に反し、健康に気を使って自然食品を摂取し、好物はチーズというストイックなこだわりをもったの主人公。徹底したハードボイルド風味なキャラの作り込みは面白いが、犯罪への憎しみが凄まじく、犯人の射殺も上等というところは、「ダーティハリー」を意識しているようだ。帰宅したコブラが冷蔵庫から取り出した冷たいピザをハサミで切りながら食べるシーンは、キャラハン刑事が自宅で一人、冷蔵庫のハンバーガーを食べるシーンを思わせる。
「ダーティハリー」的なテーマで全編貫くかと思いきや、やはり、ヒロインが妻であるせいか、中盤からややロマンスの要素が強くなってくる。犯罪者には強く出るが、色恋はさっぱり向いていない硬派なコブラが、護送中のヒロインの気を引こうとして、ぎこちないジョークを繰り出す微笑ましさ。しかし、結局、ヒロインを口説き落とせず、逆にヒロインに手なずけられていくような感じなるところは、実生活での二人の関係を想像させて楽しい。
アクション・シーンは、スタント、爆発共に派手なものではないものの、カメラアングルとスローモーションに凝り、十分迫力あるものに仕上がっている。中盤のカーチェイスのテンポの良さは今観てもなかなのもので、車を180度ターンさせ、バックしながら追っ手を撃ち、再びターンして走り去るシーンは、本作でもっとも切れがあってかっこいいシーンだ。
ちなみに、原作のポーラ・ゴズリング「逃げるアヒル」は、1995年にウィリアム・ボールドウィンとシンディ・クロフォードの主演で『フェア・ゲーム』として再映画化された。
<<ストーリー>>
スーパーマーケットにショットガンを持った男が篭城した。男は「新世界を作るんだ」と叫び、客を射殺した。事件の発生を受け現場に呼ばれたロス市警のマリオン・コブレッティ警部補、通称コブラは、男との取り引きに応じつもりはなかった。コブラは、人質をとった男を隙を見て射殺した。凶悪事件を誰よりも憎むコブラは、犯人に容赦をしない捜査を行なうために、マスコミから非難を浴びることが多かった。組織内でも法を無視するコブラへの批判があり、特にモンテ刑事とは衝突が絶えなかった。
ロスでは現在、連続殺人が発生していて、既に十六人の犠牲者が出ていた。犯行は「新世界の創造」を掲げる狂信的な集団“ナイト・スラッシャー”の仕業だと目されていた。そして、ある夜、高速道路の高架下で新たな犠牲者が出た。犯行直後、現場を通りかかったモデルのイングリッド・ヌードセンは、犯人のナイト・スラッシャーと目を合わせてしまった。ナイト・スラッシャーに目撃者を抹殺するため、イングリッドを追った。撮影の仕事を終えたイングリッドはカメラマンのダンと駐車場に降りてきたところをナイト・スラッシャーに襲われた。イングリッドを狙った銃弾はダンの命を奪った。
警察に助けられたイングリッドだったが、ショック状態となりロス中央病院に収容された。病院を訪れたコブラとゴンザレス部長刑事は、高架下での殺人事件の犯人をイングリッドが目撃していたことを知ると、犯人の特徴から似顔絵を作成した。コブラはゴンザレスにイングリッドの護衛を頼むと、似顔絵を犯罪者ファイルと照会するため、いったん帰宅した。コンピュータのファイルの中からナイト・スラッシャーをピックアップしたコブラは、警察に連絡しようとするが、電話に出たのは病院にいるはずのゴンザレスだった。ゴンザレスはコブラを名乗る何者かに命じられて警察に戻ったのだという。イングリッドの身の危険を感じたコブラは中央病院へ急いだ……。
<<キャスト>>
[コブラ]
シルヴェスター・スタローン
[イングリッド]
ブリジット・ニールセン
[ゴンザレス]
レニ・サントーニ
[モンテ]
アンドリュー・ロビンソン
[ストーク]
リー・ガーリントン
[チョウ]
ジョン・ハーツフェルド
[スーパーマーケットの殺人者]
アート・ラ・フルー
(アート・ラフルー)
[ナイト・スラッシャー]
ブライアン・トンプソン
[ダン]
デイヴィッド・レイシュ
<<スタッフ>>
[キャスティング]
ジョイ・トッド
,C.S.A.
[音楽作曲/演奏]
シルヴェスター・リヴェイ
[衣装デザイン]
トム・ブロンソン
[製作補]
トニー・マナフォ
[編集]
ドン・ジマーマン
,A.C.E.
ジェイムズ・シモンズ
(ジェイムズ・R・シモンズ)
[美術]
ビル・ケニー
[撮影]
リック・ウェイト
,A.S.C.
[製作総指揮]
ジェイムズ・D・ブルベイカー
[製作]
メナハム・ゴーラン
ヨーラン・グローバス
[原作小説]
ポーラ・ゴズリング
「逃げるアヒル」
[脚本]
シルヴェスター・スタローン
[監督]
ジョージ・P・コスマトス
(ジョージ・パン・コスマトス)
<<プロダクション>>
[提供]
ワーナー・ブラザース
[製作]
キャノン・グループ
ゴーラン=グローバス