<<ストーリー>>

持つものに苦悩をもたらすという言い伝えのある名剣・碧名剣(グリーン・デスティニー)。その使い手であるリー・ムーバイは中国全土に名を知られる英雄だった。師の仇・毒狐(ジェイド・フォックス)を追い続けて来たムーバイだったが、ある日、不思議な夢に導かれ、剣を置くことを決意。修行を中断し、武侠の聖地であるムーダンの山を降りたムーバイは、弟子の女性ユー・シューリンのもとを訪ねた。北京に向うシューリンに碧名剣を預けたムーバイは、剣を武侠の庇護者であるティエ氏に渡すよう頼むと、師の墓参りに出かけていった。
北京にやってきたシューリンはティエ氏の邸に留まることになった。事情を聞かされたティエ氏は、ムーバイが剣を置いてシューリンの身を受けるつもりでいるのだと考えた。だが、惹かれあっているはずのムーバイとシューリンは互いにそれを口に出せないでいた。シューリンはティエ氏の屋敷で、ユィ長官の娘イェンと出会った。名門の貴族ゴウ家との政略結婚を間近かに控えていたイェンは、シューリンを慕い、義理の姉妹の契りを交わした。
ある夜、ティエ氏の邸に賊が忍び込み、碧名剣が盗まれた。シューリンは、碧名剣に興味を示していたイェンが犯人でないかと疑った。一方、北京に到着したムーバイは、深夜の警護にあたっていたところ、邸の周囲にいた怪しげな一組の父娘を取り押さえた。だが、彼らは賊ではなかった。話に聞くところによると、ツァイという名のその役人は、妻を殺した毒狐を追って北京にやってきたのだという。ムーバイの師ナンハを毒殺し、秘伝書を盗んだ毒狐。仇と奇しくも北京で会うことになろうとは、ムーバイは思いもしなかった。
ムーバイは、ツァイ父娘と毒狐の決闘の地となる丘に向かった。ムーバイは師の仇を討つつもりだったが、彼の前に立ちふさがったのは、碧名剣を構えた毒狐の若い弟子だった。ムーバイが毒狐の弟子の相手をしている間、ツァイは毒狐に殺されてしまった。その事件をきっかけに、毒狐が長官の邸に使用人として潜んでいる可能性が高くなった。シューリンは事件にイェンがからんでいると確信すると、彼女と会い、碧名剣を返すよう遠まわしに言った。
その夜、ムーバイは長官の家の前で賊を待ち伏せ、碧名剣を返しに来たイェンを捕まえた。先日の毒狐の弟子はイェンだったのだ。ムーバイはイェンの剣の才能を見込み、彼女に自分の弟子になるように言った。イェンはムーバイの申し出を断わり、去っていったが、内心では迷っていた。家庭教師として長官の家に潜入した毒狐に十年にわたって剣を教えられてきたイェン。だが、彼女は文盲の毒狐の代わりに秘伝書を読み解き、既に師の腕を越えていたのだ。イェンは自分を導いてくれる者を求めていた。一方、ムーバイから相談を受けたシューリンは、イェンを弟子にすることに反対した。シューリンは、ゴウ家に嫁ぐイェンには武侠の世界は相応しくないと考えいたのだ。
イェンが嫁ぐ日の前夜、彼女の寝室に盗賊のローが訪ねてきた。ローはイェンと愛を誓い合った恋人であり、彼女が結婚すると聞いて駆けつけてきたのだ――イェンとローが出会ったのは、もう何年も前のこと。ロー率いる盗賊の一団が、北京への赴任のため荒野を行く長官の一行を襲い、イェンの櫛を奪ったことがきっかけだった。イェンは櫛を奪い返すためどこまでもローを追い、二人はたちまち恋に落ちた。だが、すぐにイェンは自分を探している長官のもとへ帰ることになった。別れ際、ローは、親の病気を直すために山の頂きから飛び降りた少年の伝説の話をすると、いつか軍隊で出世し、妻に貰うために迎えに行くことをイェンに約束したのだった……。



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