<<ストーリー>>

臨終のラーソン牧師は息子のハルを枕もとに呼びつけ、混濁した意識の中で「セクシーで若い女こそがすべてだ」と忠告した直後に息絶えた。9歳だったハルにとってその出来事はトラウマとなったが、亡き父親の遺言は暗示として残り、大人になった彼は若くセクシーな女性ばかりを追いまわすようになっていた。そんな彼が現在、入れあげているのは向かいの部屋に住むジル。だが、決してハンサムとは言えないオッサンのハルは、ジルに男性として見られることもなくフラれてしまうのだった。
JPS投資銀行に務めるハルは企画開発部長への昇進が内々定していたが、突然、話が流れてしまった。ジルにフられ、昇進もダメになり、ついていないことばかり。そんな時、ハルはエレベーターの中で、テレビで有名な心理カウンセラーのトニー・ロビンスと偶然、出会った。エレベーターの故障で中に閉じ込められたハルは、二人きりになったロビンスに身の上話を語り始めた。ロビンスはハルが外見だけで女性を判断していることを知ると、彼の目に人の心の美醜が映るように催眠術をかけた。エレベータが動き出し、ビルから出たハルは、さっそく美女と遭遇。カトリーナという名のその美女とタクシーを譲り合ったハルは、あっさり彼女と電話番号の交換を成功させたのだった。
ハルの親友のマウリシオ・ウィルソンは、ハルにも負けずレベルの高い女性ばかりを追い求める冴えない男。ハルとマウリシオは毎日のようにディスコに繰り出し、ナンパを競い合っていた。だが、その夜、マウリシオは今夜に限ってハルの女性の嗜好がおかしいことに気付く。ハルはなぜか、店内でいちばんのブス三人組と楽しそうに踊っていたのだ。だが、ロビンスから暗示のかけられたハルの目には、目の前のブスが美女に見えていたのだった。
翌日、ハルはドライブ中に街角で運命の女性と出会うことになった。車を降りたハルはそのスリムで美しい女性を追いかけ、女性用下着売り場にいた彼女に声をかけた。その時、彼女はパラシュートみたいに大きなショーツを手にしていたが、ハルはそれを彼女が自分のために品定めしていたとは気がつかなかった。実は、彼女はかなりの肥満体質だったが、心の美しかったがためにハルの目には美女として映っていたのだ。女性の名はローズマリー・シャナハン。平和部隊への参加を希望し、ボランティア活動に励んでいるという。ハルは、美人で知的で性格も良いローズマリーにたちまち恋をしたのだった。
マウリシオはハルから新しい友達として紹介されたローズマリーの体格を見て仰天。親友がおかしくなってしまったと考え、悩むようになった。一方、ローズマリーはハルの人格を知るため、ボランティアで訪問している小児病棟の子供たちを引き会わせてみることにした。ハルは、病気とは思えないほど健康的に見える子供たちとすぐに打ち解けた。人に対して分け隔てのないハルに、ローズマリーは交換を持った。だが、ハルが美人とは言えない自分の美貌をしきりに褒め称えることには、強い不信感を抱いていたのだった。
ローズマリーはハルへの不信感から一時的に彼を遠ざけたが、彼が本気だと気付くと改めて恋人として付き合い始めるようになった。何度かデートを繰り返した後、ハルはローズマリーから両親を紹介された。ローズマリーの父親スティーヴは偶然にもJSP投資銀行の社長だった。娘が美人でないことを自覚しているスティーヴは、ハルが娘に近づいたのも野心だと考えていた。だが、野心を指摘されたハルはそれを否定し、逆に社長に「娘を美術品か何かのように見ていて、彼女の人格を見ていない」と指摘したのだった。ハルの言葉に心を打たれたスティーヴは、彼を人間として信用することにし、彼のあたためている経営上のプランを重役会でプレゼンすることをすすめた。プレゼンを成功させたハルは、社長から直々に右腕として認められることになった。だが、同僚からはやはり野心でローズマリーを口説いたように思われてしまい、株を下げてしまうのだった。
ある日、ハル、ローズマリー、共通の友人ウォルト、そして、小児病院のナースのタニアの四人でシエラレネオへドライブに出かけた。地元の宿屋でローズマリーは平和部隊で一緒だったラルフとリーボイと再会した。ラルフはローズマリーのかつてのボーイフレンドだった。ローズマリーが平和部隊に参加してキリバスに行くことを計画していることを知ったハルは、ハンサムなラルフとの仲を嫉妬した。一方、マウリシオは美女好きの親友を取り戻すため、ハルに催眠術をかけたロビンスを探し出していた。催眠術はロビンスが良かれと思ってかけたものだったので、彼にそれを解く気になかったが、「おかげで良い仕事を失った」というマウリシオのウソに騙され、暗示を解く合言葉を彼に教えしまった。
マウリシオは、ローズマリーとレストランで食事中だったハルに電話をかけ、「上っ面ハル、目は節穴」と告げた。それが暗示を解く合言葉だった。電話をしながらテーブルに目を戻したハルが見たものは、ローズマリーの料理をがっついている大女の後姿だった。ハルの暗示が解けたのだ……。



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