飛行機爆発事故から運良くまぬがれた修学旅行の高校生たち7人。
しかし、その後、彼らはまるで死のつじつまを合わせるかのように次々と怪死していく。
サスペンス・ホラー。

ファイナル・デスティネーション

FINAL DESTINATION

2000  アメリカ

98分  カラー



<<解説>>

人の死は計画に従って実行され、たとえ計画から外れたとしても、近い将来に何らかの形で実行されるとしたら、という設定で描かれるホラー。死の運命から逃れる方法はただひとつ。それは、計画の予兆を見逃さないこと――たいていの人がいちばん恐ろしいと思っているのは、自分自身の死である。自殺は無論、病死などに対しては予防なり治療なりで、どうにか対策は講じられるものの、事故死はいかようにも避けがたいもの。事故死に対する対策などありえないから、普段はそのことを考えないようにしている人がほとんどだと思われるが、しかし、現実として、事故死というのは若年層ではかなりのウェイトを持つ死因なのである。本作は、誰にいつ襲いかかるとも分からない死の恐怖を、過剰なショック描写という形で視覚化している。題名は「最終目的地」の意。
主人公たちの戦う相手が、幽霊や怪物などではなく、偶然や運命という目にも見えず手にも触れられない相手、というのが新機軸。つかみ所のない相手とどのようにして戦っていくかというところが見どころだ。霊的な講釈などといった余計なものはないため、「オカルトはちょっと」という人にも取っ付きやすい内容となっている。ストーリーのテンポが良く、“死の筋書き”をめぐるサスペンスのキレもすこぶる良いが、この作品の最大の肝は、凝りに凝った登場人物たちの死に方だろう。すぺての死は、あくまで偶然によってもたらされるのだが、ある者はあっさり、ある者はじっくり、様々なパターンの死を見せていく。「次はどんな怪死を見せてくれるのだろう」という、ダークな期待を膨らまさせるあたりは、オカルト・ホラーの傑作『オーメン』を彷彿とさせる。特に中盤に運命の餌食となる教師のあまりに気の毒な死に方にはユーモアさえ感じさせ、ホラー映画の殿堂入りも決定? 畳み掛けるラストにも、あっと言わさせる。
キャストのうち、知名度のあるのはトニー・トッドぐらいで、主演の“実写キャスパー”デヴォン・サワ他はほとんど無名であり、予算もないB級作品ながら、アイデアとショック描写が受けて、クリーンヒットとなった。ホラーのお約束として、続編『デッドコースター ファイナル・デスティネーション2』が製作され、2006年には第3弾が公開の予定。ちなみに、本作のDVDの特別版には、当初予定されていたという幻のエンディングが収録されていた。



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