魔法使いの支配する国を救うため、ドラゴンを操る杖をめぐって盗賊の青年が冒険を繰り広げる。
ロール・プレイング・ゲームの古典の映画化。
ダンジョン&ドラゴン
DUNGEONS & DRAGONS
2000
アメリカ/チェコ
107分
カラー
<<解説>>
1974年に発売された最古のテーブルトークRPG(対話型ロール・プレイング・ゲーム)「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を、ゲームのファンである監督が映画化。様々な職業のキャラクターが集まってパーティを組み、力を合わせて様々な課題(おつかい)に挑戦していくという基本的なゲームシナリオを、VFXを駆使した映像で完全再現している。
有名ファンタジーの映画化という点で共通している『ロード・オブ・ザ・リング』よりも一足早く完成しているが、映像やスケール感を、映画史を乗り換えるほどの超大作となった『ロード〜』と較べるのは、やはり酷だろう。そもそも、本作は、『ロード〜』のようにファンタジーとしてのリアリティを追及するより、作り物のゲームの世界の楽しさを優先しているようだ。「ファンタジーの世界や道具立ての中で、役者(プレーヤー)が盗賊や魔法使いを演じている」という距離感でスクリーンに向かい、ゲームをプレイするような感覚で楽しみたい作品だ。オスカー俳優ジェレミー・アイアンズもそんな作品の空気を察したのか、悪役を思いっきりオーバーに演じている。
ゲーム・マニアでもない限り、RPGと聞いて思い浮かぶのは、「ドラクエ」や「FF」などの代表的なビデオ・ゲームだろう。しかし、“ダンジョン”と聞いて、「ドラクエ」などに登場するような“巨大迷宮”を期待して観ると裏切られることになるかもしれない。本作に登場する“ダンジョン”は、どう大きく見積もってもアスレチックなのだから。“RPG=「ドラクエ」「FF」”な観客にとって、この作品の“ダンジョン”には不満が残るかもしれない。しかし、“ダンジョン”で奮わなかった分、“ドラゴン”の方はやりすぎなくらいに派手に登場するので、ご安心を。まさに“竜頭蛇尾”ならぬ“蛇頭竜尾”といったところで、VFXで表現された無数のドラゴンが空中戦を繰り広げるクライマックスは、一見の価値あり。
<<ストーリー>>
イズメール帝国はメイジと呼ばれる貴族階級の魔法使いによって支配されていた。女王サヴィーナは誰もが平等である国の建設を目指していたが、それに反して、宰相プロウィオンは国の支配という邪悪な企みを持っていた。プロウィオンは民衆の間に革命思想が根ずく可能性を恐れ、サヴィーナから君主の杖を取り上げるよう評議会に提案した。サヴィーナはプロウィオンに対抗し、レッド・ドラゴンを操ることの出来るサブリールの杖の入手を魔術師ヴィルダンに依頼。一方、プロウィオンは、杖の横取りを部下のダモダーに命じた。
ヴィルダンが、杖の在り処を示す地図の描かれた巻物の解読に苦心していた頃、救世主を夢見る盗賊のリドリーが、相棒のお調子者スネイルズと共に魔法学校に侵入していた。ヴィルダンの助手の見習い魔法使いのマリーナは、侵入者であるリドリーとスネイルズを発見した。その時、ダモダー率いる親衛隊クリムゾンが現れ、巻物を横取りするためにヴィルダンを殺害した。リドリーとスネイルズは、マリーナと一緒にダモダーから逃走。たまたまそばにいたドワーフのエルウッドも騒動に巻き込まれることに。
ダモダーをまいたリドリーたち四人は酒場で一息つくが、そんな彼らの行動をなぜかエルフのノルダが見張っていた。父親から教わった呪文で巻物の謎を解いたリドリーは、マリーナから杖探しに付き合うよう頼まれた。気の進まなかったリドリーだったが、杖の納めらた洞窟の扉の鍵である“ドラゴンの瞳”というルビーに惹かれ、スネイルズも誘って旅に参加することを決意した。
ドラゴンの瞳の持ち主は、盗賊の町ギルドのボス、ザイラスだった。ザイラスと話をつたリドリーは、ドラゴンの瞳を賭け、生きて出られた者は一人もいないという迷宮に挑むことに。危険な罠をかいくぐり、迷宮のゴールまでたどり着いたリドリーはドラゴンの瞳を手に入れた。だが、ザイラスは、ルビーを手に入れるためにリドリーを利用しただけだった。リドリーがザイラスからルビーを渡すよう迫られた時、ダモダーがクリムゾン隊を引き連れ現れた。マリーナをさらったダモダーを追いかけようとしたリドリーたちだったが、酒場から後をつけてきたノルダに捕まってしまった。
ノルダは女王の命令でリドリーたちを追っていたが、彼らが敵ではないと知り、行動を共にすることに。リドリー、スネイルズ、エルウッド、ノルダの四人は、ダモダーのアジトに向かった。アジトに潜入したリドリーとスネイルズは、監禁されていたマリーナを救出した。だがその時、ダモダーがスネイルズを人質にとり、リドリーに巻物を寄越すよう要求してきた。リドリーがダモダーに巻物を渡そうとすると、それを阻止しようとしたスネイルズが自ら犠牲になった。親友の死に怒り狂ったリドリーはダモダーに立ち向かうが、肩に剣を突き立てられて重症を負った……。
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