厳しい寄宿学校で小間使いとして働くことになってしまった少女セーラの物語。
バーネットの名作「少公女」の映画化。
リトル・プリンセス
(
リトル・プリンセス 少公女
)
A LITTLE PRINCESS
1995
アメリカ
97分
カラー
<<解説>>
「不遇な暮らしをしている女の子だけど本当はお姫さま」という“みにくいアヒルの子”的な夢を見る少女たちのハートをがっちり掴み、時代を超えて愛され続ける児童文学の名作中の名作。これまでにも世界中で映画化やテレビドラマ化され、日本でも“世界名作劇場”「小公女セーラ」としてアニメ化されているが、英語圏で映画化されるのは1975年(本邦未公開)以来、久々となる(さらにその前は39年のシャーリー・テンプル主演版)。
10歳の少女セーラのインドでの優雅な暮らしと、寄宿学校の仲間たちと打ち解けていく過程を描く前半。そこから一気にどん底に突き落とされ、ミス・ミンチンの徹底した非道ぶりが際立つ中盤。そして、どんな逆境にもめげなかったセーラに起こる奇跡のラスト――プロットは言わずもがなの完璧さで、感動保証といったところが、物語も然ることながら、特筆すべきは、やはり美術と衣装の素晴らしさだろう。
まるで絵画のような寄宿舎やニューヨークの町並みは、奇妙なインド人がいたり、不思議な奇跡の起こっても不思議だとは思えない重厚な雰囲気を持っている。緑を基調とした寄宿学校の制服もとってもかわいく、こうした妥協なく完成された世界観があってこそ、物語が映えるのである。「名作だから」、「子供向けだから」という免罪符に甘えず、ファンタジーの世界を鮮やかにつむぎだした本作は、「小公女」の映像化の決定版としたい逸品となった。本作と同じ雰囲気を持ち同じくバーネット原作の『秘密の花園』(1993年版)と観比べるのも一興かもしれない。
<<ストーリー>>
父親のクルー大尉と赴任先のインドで不自由なく暮していた少女セーラは、戦争が始まると同時にニューヨークの寄宿学校へ預けられることになった。寄宿学校は子供に厳しいミンチン校長によって支配され、生徒たちは自由に遊ぶことも許されなかった。空想好きのセーラは遊びを忘れた生徒たちに不思議な物語を聞かせ、たちまちクラスの人気者になった。
楽しい学校生活を送っていたセーラだったが、彼女の誕生日、戦場へ行っていた父親が死んだという報せが届いた。それまで、大尉から寄付を受けられることを期待し、規則を守らないセーラを見逃してきたミンチン校長だったが、寄付の望みがなくなったと知ると態度を一変。セーラを寄宿舎の部屋から追い出し、小間使いとして働くよう言いつけたのだった。
それから、セーラは小間使いのベッキーと一緒に暗い屋根裏で不幸な生活を強いられることになった……。
<<キャスト>>
[セーラ・クルー]
リーセル・マシューズ
[ミス・ミンチン]
エレノア・ブロン
[クルー大尉]
リーアム・カニンガム
[アメリア・ミンチン]
ラスティ・シュウィマー
[チャールズ・ランドルフ]
アーサー・マレット
[ベッキー]
ヴァネッサ・リー・チェスター
[アーメンガード]
ヘザー・デローチ
[ベッツィ]
レイチェル・ベラ
[ジェーン]
カミーラ・ベル
[ロティ]
ケルシー・マルーニー
[バロウ氏]
ヴィンセント・スキャヴェリ
[ラキ]
ラヒ・アジジ
[警官]
クリス・エリス
<<スタッフ>>
[監督]
アルフォンソ・クアロン
[製作]
マーク・ジョンソン
[製作総指揮]
アラン・C・ブロンキスト
エイミー・エフロン
[原作]
フランシス・ホジソン・バーネット
[脚本]
リチャード・ラグラヴェネーズ
エリザベス・チャンドラー
[撮影]
エマニュエル・ルベッキ
[音楽]
パトリック・ドイル
[美術]
ボウ・ウェルチ
[編集]
スティーヴン・ワイズバーグ
[衣装デザイン]
ジュディアナ・マコフスキー