名家の御曹司が国宝の密売組織の内紛に巻き込まれる。
ジャッキー・チェンが武術とスポーツの融合に挑んだ意欲作。

ドラゴンロード

龍少爺 DRAGON LORD

1982  香港

95分  カラー



<<解説>>

『ヤングマスター 師弟出馬』を発展させたような作品で、ジャッキーのスポーツへの拘りが堪能できる。冒頭では、竹で組んだ塔の頂上の金の玉を取り合う競技“ゴールデン・ポイント”。そして、中盤には、決して地面につけずに羽根を蹴り合う、サッカーをモチーフとした“ラゴン・キッカー”が登場。二つの競技の様子が、ストーリーそっちのけでたっぷりと描かれるのだが、武術の動きを取り入れた選手の動きは人間業とは思えず、観る者を圧倒させる。まず、これらの競技風景を観るだけでも本作には価値があると言えるほどだ。
もちろん、カンフー対決の場面でも、ジャッキーは大胆かつ細やかなで楽しませてくれる。クライマックスでの組織のボスとの対決は特に壮絶で、足場の限られた回廊という舞台で繰り広げられる高スピードの格闘は、いよいよ観る者の口をあんぐり開けさせるのである。まだ早送りに頼っていない生の迫力だ。
ちなみに、ジャッキーの役名“ドラゴン”だが、『ヤングマスター』でも同じ役名であったように、同じくスポーツに拘った姉妹作的な意味合いがあるのかもしれない。ジャッキー本人が気に入っているのかは定かではないが、後の「プロジェクトA」シリーズでも主人公は“ドラゴン”だった。ついでに、本作で“タイガー”を演じたチャーリー・チャンも、同じ役名で『プロジェクトA2 史上最大の標的』に出演している。



<<ストーリー>>

名家の御曹司ドラゴンは、父親に言いつけられている武術の稽古や詩の勉強をサボってばかり。父親の目を盗んでは町へ繰り出し、友達のジムとつるんでいたずらのやり放題だった。ある日、草原でキジを追っていたドラゴンとジムは、怪しい男たちに追いまわされる男と出くわした。男は宝物を密売する組織の一員だったが、組織が国宝を売ろうとすることに反対して逃げてきたのだった。
ドラゴンには熱を上げている娘シャーリーがいた。だが、誤解が重なってなかなか二人で会うことが出来なかった。そこで、ドラゴンはジムにも手伝ってもらい、ラブレターを凧に付け、シャーリーのもとへ飛ばすことに。ところが、凧は風にあおられあらぬ方向へ。ドラゴンは凧が落ちた屋敷へと侵入するが、そこであの日、追われていた男と再び出くわすことに。
屋敷では今まさに、国外へ持ち出そうとしている国宝の梱包作業が行われているところだった。男は、組織が手に入れた中でももっとも貴重な国宝が国外へ出ることを阻止しにやってきたのだ……。



<<キャスト>>

[ドラゴン]
ジャッキー・チェン

[タイガー]
チェン・ホェイミン (チャーリー・チャン)

[殺し屋]
フン・ケアン (フン・ハーコン)

[ジム]
フォウ・シン (マース)

[ホウ(ドラゴンの父)]
ティエン・ファン

[キム]
ウォン・インシク

[シャーリー]
シドニー・イム

[ルー・チェンの仲間]
コリー・ユン



<<スタッフ>>

[監督]
ジャッキー・チェン

[製作]
レナード・ホウ

[製作総指揮]
レイモンド・チョウ

[脚本]
ジャッキー・チェン
バリー・ウォン
タン・キンサン (エドワード・タン)

[撮影]
チェン・チン・チェー
チェン・シンカイ

[音楽]
フィリップ・チャン

[編集]
ピーター・チャン