<<ストーリー>>

南太平洋の孤島で外の世界を知らずに暮すジュリアス・ベネディクトは、12ヶ国語を操り、あらゆる学問に精通、その上、身も心も汚れていない完璧な男性。彼は、もっとも優れた人類を造り出すという政府による極秘実験の産物であり、優秀な遺伝子を持つ6人の父親と、メアリー・アンという一人の女性から生まれたのだった。ジュリアスが35歳になった時、彼が研究の手伝いをしている親代わりの科学者からある真実を教えられた。実はジュリアスの誕生の瞬間、もう一人の男の子が生まれていたのだ。その双子の兄弟ビンセントがLAの養護施設にあずけられたのだという。真実を知ったジュリアスははじめて科学者に背き、ビンセントに会うために島を出たのだった。
ジュリアスが探している双子の兄弟ビンセントは今もLAに暮していた。だが、彼はジュリアスとは似ても似つかぬ小男。女たらしで、性格もズル賢く、借金まみれの生活である。一応、小さな会社を経営しているが倒産寸前。駐車場を管理するアルと組んで、盗んだ高級車を売り飛ばすか、ガールフレンドのリンダに金をせびるかして、どうにか暮していた。もちろん自分に双子の兄弟がいるとは夢にも思っていない。今は、借金の返済の期日が迫っているため、ヤミ金屋のクレイン兄弟に追われていた。そんなある日、ビンセントは度重なる駐車違反の罰金が払えずに警察に捕まり、留置所に放り込まれてしまった。
LAに降り立ったジュリアスは、はじめて見る都会に驚きながら、まず、ビンセントがあずけられていた聖シャーロット擁護施設を訪ねた。施設の院長はビンセントに対して良い思いを持っていないようだった。彼女の話によれば、ビンセントは12歳の時に修道女をわいせつ行為をした上、施設の金の盗んで脱走してしまったのだという。ビンセントの居場所を訊かれた院長は「刑務所以外にありえない」と言った。ジュリアスは、院長の言葉に素直に従い、留置所を訪ねることに。ビンセントは面会に来た見知らぬ大男に唖然とした。一方のジュリアスも、ビンセントとして紹介された男を見て目を丸くしたのだった。
とにかくも、双子の兄弟はガラス越しに再会を果たした。ビンセントは、自分のとこを親しげに「兄弟」と呼びかけるジュリアスの話を話半分に聞き、とりあえず彼に保釈金を払わせた。こうして、留置所を出たビンセントは、まだ訳の分からないことを言いつづけるジュリアスから逃げるように車を発車させたのだった。自分のオフィスに戻ったビンセントは、エレベータの前でクレインに見つかってしまった。「時間切れだ」と叫ぶクレインに、思い切り突き飛ばされるビンセント。そんな彼の窮地を救い、クレインを追っ払ってくれたのは、オフィスを探し当てて来たジュリアスだった。ビンセントは、ジュリアスと一緒に居れば身の安全がはかれること知り、彼に話を合わせることにしたのだった。
その夜、ビンセントはアルから報せを受け、駐車場に高級車を盗みに向かうことに。ジュリアスには慈善活動だとウソを言って、ついてきてもらい、愛車を運んでもらうことにした。高級車を盗み出すことに成功し、帰路に着いたビンセントとジュリアス。帰りに寄ったスーパーマーケットで二人は、リンダと妹のマーニーとばったり出くわした。マーニーを紹介されたジュリアスは、彼女に一目惚れしてしまうのだった。ビンセントの家に泊めてもらうことになったジュリアスは、自分たちの出生の秘密を熱心に説明。だが、ビンセントは苛つきながらジュリアスの話をさえぎると、「そんなことは恵まれない子の夢だ」と言った。家族の愛情を受けずに育ったビンセントは、自分以外の人間が信用できなくなっていたのだ。
ビンセントが施設から盗み出したファイルには、彼の親の家の住所が記されていた。そこに行けば自分たちのルーツが分かるかもしれない、と考えたジュリアスは、翌日、その住所を訪ねた。子供たちに「おじいちゃん」と呼ばれるその家の主は、ジュリアスと背格好がそっくり。彼は6人父親のうちの一人だった。父の話によれば、メアリー・アンは生まれた子供は死産だったと聞かされ、ジュリアスの存在は知らないのだという。そして、父は、実験の指揮をとったミッチェル・トレイヴンという科学者が、今もロスアラモスで研究をしていることをジュリアスに教えた。
その頃、ビンセントは盗んだ車の中にあったカセットテープを聴き、この車が特別な何かであることに気付いた。実は、この車のトランクには盗品の新型ジェットエンジンが詰まれていて、それをウェブスターという運び屋がビートルートという男に引き渡そうとしていたのだ。テープに吹き込まれた手がかりをもとにビートルートへ電話をかけたビンセントは、取引の報酬が500万ドルであることを知り、腰を抜かした。途方も無い大金に目がくらんだビンセントは、ウェブスターを騙ってビートルートと取引することを思いつくのだった。
ビートルートとの取引場所であるヒュースンへこっそり出発しようとしていたビンセントは、ジュリアスに見つかり、自分たちのルーツを探しに行こうと誘われた。さらに、リンダとマーニーが誕生日祝いに家を訪ねてきたため、ビンセントは逃げることが出来なくなり、結局、みんなでドライブに出かけることになってしまった……。



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