<<ストーリー>>

ヒルバレーのライオン住宅地に暮すロック好きの高校生マーティ・マクフライは、1985年10月25日の朝、近所に暮す変人の科学者ドクことエメット・ブラウン博士から、今夜1時15分に“二本松”モールに来るよう言われた。マーティにはかわいいガールフレンドのジェニファーがいて、翌日は彼女とドライブに行く約束があった。ところが、学校から帰宅してみると、クルマは大破。父ジョージが上司のビフにクルマを貸したはいものの、ぶつけられてしまったのだ。気の弱いジョージは態度のデカいビフに頭があがらず、クルマの修理費を払わされる始末。高校のストリックランド先生は、マクフライ家は代々クロデナシで町の恥さらしだという。マーティも情けないジョージの血を受け継いでか、いまいち自信や勇気がもてず、学校のバンドのオーディションにも落ちてしまうのだった。とろこで、ロクデナシの父がどうして母ロレインと結婚出来たのか? ロレインの語る馴れ初めによれば、彼女の父が道の真ん中に寝ていたジョージをクルマではねたことがきっかけだったのだという。だが、なぜ、ジョージが道の真ん中にいたのかは謎のままだった。
すっこり眠り込んでしまったマーティは、ドクからの電話で起こされ、約束のモールの駐車場に駆けつけた。ドクが「最高の発明品」としてマーティに見せたのは、スポーツカーのデロリアン。マーティは訳も分からずにビデオカメラを渡され、ドクの実験のデモンストレーションを記録することに。ドクは愛犬のアインシュタインをデロリアンに乗せると、リモコンで操縦。クルマは猛スピードでマーティとドクに突っ込んできたが、二人に目の前で消えた。一分後、デロリアンが現れた。乗っていたアインシュタインはそのままだが、中の時計はきっかり一分遅れていた。ドクは、デロリアンを改造してタイムマシンを作ったのだという。目を丸くするマーティに、ドクはタイムマシンの仕組みと操作方法を説明。デロリアンは時速140キロに達すると、次元転位装置が作動し、時間を飛び越えるのである。だだし、次元転位装置を動かすには、核反応が生み出す1.21ジゴワットの電力が必要。燃料となるプルトニウムは、テロリストから偽の爆弾と引き換えに手に入れたのだという。
説明を終えたドクが25年後の未来に旅立とうとしていたその時、モールに怪しいクルマが近づいてきた。クルマを見たドクは「やつらが来た」と叫んだ。テロリストに爆弾が偽物だったことに気付かれたのだ。ドクはテロリストから銃弾をあびせられ、倒れた。一方、マーティは咄嗟に側にあったデロリアンに乗り込み、テロリストのクルマから逃げようとした。タイムサーキットの目標日時には、ドクが次元転位装置の思いついた1955年11月5日がセットされたまま。その上、戻ってくるために必要なプルトニウムは詰まれていなかった。マーティがデロリアンを加速させた瞬間、速度が140キロを越え、タイムスリップした。
マーティの目の前に突如広がる一面の野原。クルマはそのまま、この地主であるピーボディ氏の家の納屋に突っ込んだ。マーティは、自分を宇宙人か何かだと思ったピーボディ一家に銃を向けられ、慌ててクルマを発車。クルマは松の木を一本なぎ倒しながら、ピーボディの土地を離れたのだった。まだ、自分がタイムスリップしたのだとは信じられないマーティ。彼はライマン住宅地に帰るが、そこには住宅地もなく、造成前の荒野が広がっているだけだった。デロリアンを物陰に隠したマーティは、町のシンボルである時計台の前の広場にやってきた。広場は様変わりしていた。映画館ではレーガン主演の映画が上映され、商店のショウウインドウにはトランジスタラジオが並んでいたのだ。マーティはゴミ箱に捨てられていた新聞の日付を見て、自分が本当に30年前に来てしまったことを信じるしかなくなった。
こんな時に頼れるのは、あの人ただ一人しかいない。広場の食堂に入ったマーティは、電話帳のドクの住所を乗ったページをちぎり取った。カウンターで一休みしていたマーティは、「マクフライ」と呼びかけられ、思わず振り向いた。そこには高校時代のビフとその取り巻きがいた。ビフが呼んだのはもちろん、マーティではなかった。カウンターの隣りを見ると、そこにミルクを飲む若き父ジョージがいたのだ。ビフにからまれているのに、ヘラヘラ笑って抵抗できないジョージ。このころから既にビフとの関係が決定していたのだった。マーティはジョージのことが気になり、店を出た彼の後をついていった。ジョージはある家の前までやってくると、側の木に登り、双眼鏡で女性の着替えをノゾキ見しはじめた。マーティが呆れて見ていると、ジョージは木から手足をすべらし、道の真ん中に転落。咄嗟にジョージを庇い、道路に飛び出したマーティはやってきたクルマにはねられ、気を失ってしまった。
マーティはベッドの中、母の声で目を覚ました。どうやら、悪い夢を見ていたらしい。ところが、マーティの目の前に居たのは、父と結婚する前の若きロレイン・ベインズ。タイムスリップしたのは、やっぱり現実だったのだ。ロレインの父サムのクルマにはねられたことで、マーティは父と母の結婚のきっかけを邪魔してしまったようだ。だが、さらに悪いことに、どうやらロレインは自分に一目惚れしてしまったようで、しきりに色目を使ってくる。気まずくなったマーティは、呼ばれていた夕食を中座し、ベインズ家を飛び出したのだった。
マーティは自分を未来に送り返してもらうため、ドクの家を訪ねた。そこは大きな邸だった。いずれ、ドクはタイムマシンの開発のために、この邸を売り払うことになるのだ。マーティを家に招じ入れたドクは何かの勧誘セールスと思い込んだ。たが、まさに今日、次元転位装置のアイデアを思いついたとこを言い当てられ、マーティの話を聞くことにした。マーティの持ってきたビデオを見て、30年後にタイムトマシンが完成することを知り、喜ぶドク。だが、タイムスリップに必要な電力が1.21ジゴワットだと聞くと、マーティを未来に返すことは無理だと言った。そんな大きな電力を取り出すのには、現時点では稲妻を利用す以外にないが、いつどこに落ちるか分からないのである。だが、マーティには思い当たることがあった。マーティはジェニファーが電話番号を書いてくれたチラシをポケットから取り出した。チラシは時計台の保存を訴えるもので、そこには、今週の土曜日の夜10時4分に時計台に落雷があった、と書かれていたのだ……。



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