<<ストーリー>>

バープルソン空軍基地のリッパー司令官が“R作戦”の発動を宣言した。つまりそれは、ソ連への最終の報復命令を意味する。リッパーはちょっと頭がおかしくなってしまったのだ。副官はリッパーの異変に事に気付き、命令を止めようとした。だが、リッパーは副官を監禁し、命令を発信してしまった。その頃、命令の通達を受け取った843爆撃空隊は、ありえない命令に愕然とし、基地へ確認を急いだ。バープルソンの副官から事件の報せを受けたタージドソン将軍は、すぐに大統領に報告。事態を重く見た大統領はワシントンに参謀を召集し、緊急会議を開いた。だがその時、50メガトンもの爆弾を積んだ爆撃機は、目標のソ連の基地に向かってしまっていた。
最終手段である“R作戦”はその特性として、撤回することが出来ない。爆撃機は通常の通信を遮断され、アルファベット三文字の暗号をCRM暗号通信で送らない限り、解除されないのだ。爆撃機が攻撃を成功させてしまえば、ソ連からの報復は必至である。しかし、事態はそれほど甘いものではなかった。実は、ソ連は“皆殺し装置”なる最終兵器を密かに開発していたのだ。ソ連が攻撃を受けた場合、“皆殺し装置”は直ちに発動し、全世界を、コバルト・トリウムGの死の灰で包んでしまうのだ。しかも、“皆殺し装置”のその反射的な起爆機能は、解除することが絶対に出来ないように作られている。大統領から、意見を求められたドイツ出身の科学者ストレンジラブ博士は、反射的な起爆機能こそ、その恐怖ゆえに互いを攻撃する抑止力となるのだと語った。
人類滅亡の危機を打開するため、大統領はソ連とホットラインを結び、ディミトリ・キソフ首相に事故が起こったことを報せた。爆撃機が攻撃目標に達するまでに、あと一時間あまり。その頃、バープルソン基地は、ワシントンから命令を受けた近所の陸軍により攻撃を受けていた。リッパーと一緒に外部からの攻撃に身を伏せていたのは、お付きのイギリス軍のマンドレー大佐。彼は、“R作戦”を発動させた理由をリッパー本人から聞き出しにかかった。すると、リッパーは「共産圏が我々の水道水にフッ素を混ぜ、貴い体液を汚している」と主張。マンドレーは、リッパーが完全に狂っていることを知り、戦慄した。
マンドレーはリッパーを宥め透かし、どうにかCRMの暗号を聞き出そうとした。だが、マンドレーの苦心空しく、リッパーは唐突にピストルで自らの命を絶ってしまった……。



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