<<ストーリー>>
1880年。ワイオミング準州ビッグウイスキー。ある夜、酒場の二階のスキニーの娼館で、客としてやってきたT牧場のカウボーイ、デイビーとマイクの二人が、ナニの小さいことを笑われたとして、娼婦のデライラの顔をナイフで切り刻んだ。すぐに、町の顔役でもある保安官リトル・ビル・ダゲッドが呼ばれるが、スキニーはデイビーとマイクをムチ打ち刑にするより、商品であるデライラを傷ものにされたことに対して、損害賠償を要求。リトル・ビルはT牧場に馬で損害を補償することを命じ、事件は決着した。だが、デライラの仲間の娼婦アリス、スー、シルキー、フェイス、ケイトは納得がいかなかった。アリスたちはなけなしの財産を合わせ、デイビーとマイクの殺害に1000ドルの賞金をかけた。
かつては残忍な殺し屋として恐れられたガンマン、ウィリアム・マニー。彼は、二年前に最愛の妻クローディアを天然痘で亡くしてからというもの、残された二人の幼い子供たちとともに、カンザスの荒野の真中の一軒家で農民として静かに暮していた。そんなある日のこと、マニーの家に、スコフィールド・キッドを名乗る若いガンマンが訪ねてきた。キッドはビッグウイスキーの事件を知り、賞金首をとるために一緒に組まないか、とマニーを誘いに来たのだった。金が必要だったマニーは、キッドの誘いに乗ることにしたが、11年も人を撃っていないため、射撃の勘は鈍り、馬に飛び乗ることも出来なかった。
デイビーとマイクにかけられた賞金に目をつけたのは、キッドだけではなかった。イギリスからやってきた伝説の殺し屋、イングリッシュ・ボブがその人である。伝記作家のW・W・ボーシャンプを引き連れ、ビッグウイスキーの町に現れたボブのその表情は自信に満ち溢れていた。だが、銃を携帯したままの男が町に入ったことを知らされたリトル・ビルは、宿の前で待ち伏せ、出てきたボブから銃を取り上げた。さらに、リトル・ビルは、ボブがまだ銃を隠し持っているのを見破ると、騒ぎを聞きつけた町の人々の目の前で、彼に殴る蹴るの暴行を加えたのだった。
マニーは子供達や家畜の世話を頼むため、同じく農場を営む旧友ネッド・ローガンを訪ねた。マニーから事情を聞いたネッドはマニーの仕事に手を貸すことを申し出た。こうして、マニーはネッドという力強い味方をつけ、ビッグウイスキーを目指した。二人がキッドとの待ち合わせ場所にやってくると、どこからともなく銃声が鳴り響いてきた。銃を撃ったのはネッドを警戒したキッドだったが、そのめくらめっぽうに撃つ様から彼が強い近眼であることが発覚した。だが、キッドはそれを認めず、これまでに五人を殺したと言い張った。
リトル・ビルは、ボブを留置所にぶち込み、ボーシャンプの書いた伝記“死の侯爵”を読んでいた。虚飾に満ちた本の内容に失笑したリトル・ビルは、そこに記されていたある事件の真相が勇ましいものではなく、ボブが丸腰の相手を撃ったことを暴露した。その上でリトル・ビルは、銃弾の入った銃を檻の中のボブに差し出した。ボブはリトル・ビルを撃つどころか、銃を受け取ることすら出来なかった。そして、翌日、ボブはプライドを引き裂かれたまま、町から護送されていった。
土砂降りの雨の夜、マニー、ネッド、キッドの三人はビッグウイスキーに到着した。賞金の前払いとして、ネッド、キッドが娼婦を抱きに向かう一方、妻に誓いを立てているマニーは一人、下の酒場で待っていた。また銃を持った男が町に入った、と報せを受けたリトル・ビルは酒場に向かい、すっかり酔っ払ったマニーを発見。リトル・ビルは、銃は持っていないと主張するマニーを、問答無用で殴りつけた。下の酒場の騒ぎに気付き聞き、いち早く窓から脱出していたネッドとキッドは、リトル・ビルに痛めつけられ立てなくなったマニーを連れて逃げた。だが、アリスたちの隠れ家に担ぎ込まれたマニーは死の恐怖に怯え、ガンマンとしての自信もすっかり失ってしまっていた……。
クレジットはこちら