柴又に帰った寅次郎は自分の部屋を人に貸していると知って憤慨。
ところが、下宿人の美人保母にすっかりのぼせ上がってしまう。
シリーズ第4作。

新 男はつらいよ

1970  日本

92分  カラー



<<解説>>

本作も前作に引き続き製作期間が短くロケに時間が裂けなかったようで、物語がほとんど柴又で展開する“寅次郎が旅をしない”作品。第8作『寅次郎恋歌』までの数作は、立て続けに新作が公開されたため、このように旅をしない、または、旅の場面が少ない作品が多い。
監督は、テレビシリーズの演出家で、映画版の企画も担当する小林俊一。山田洋次以外が監督した作品は前作と本作の二作のみである。前作同様に監督が独自の解釈で寅次郎を描いようで、シリーズの他の作品とは印象が異なる爆笑篇となった。前半は、「いつもオケラの寅次郎が大金を手にしたら」というシチュエーションで描くコメディ。大金の使い道が「叔父夫婦への親孝行」というのが泣かせるが、ハワイ旅行の顛末はシリーズ随一の笑えるエピソード。また、後半は、恋する男のこっけいさを「幼稚園児にまじっておゆうぎ」という場面でオーバーに表現している。
第2作では入院患者として登場した財津一郎が居直り強盗として再登場。



<<ストーリー>>

名古屋の競馬場で大穴を当て、百万円という大金を手に入れた寅次郎が、タクシーで柴又に帰ってきた。寅次郎はいつも世話になっている竜造夫婦に孝行しようと、舎弟の川又登が就職した旅行代理店から旅券を買い、二人にハワイ旅行をプレゼントすることに。噂を聞きつけ“とらや”に集まった近所の人たちに盛大に見送られ、寅次郎一行は出発した。ところが、登の旅行代理店の社長が金を持ち逃げしたことが発覚し、旅行は中止に。赤っ恥をかいた寅次郎は、“とらや”を飛び出していった。
一月後、寅次郎がふらりと柴又に戻ってきた。だが、折り悪く、二階の寅次郎の部屋は下宿人に貸されていた。部屋が無いと知り、憮然とした寅次郎は、そのまま旅に出ようとしたが、ちょうど“とらや”に帰ってきた下宿人の姿を見ると、手のひらを返したように態度を変えた。下宿人である幼稚園の先生・春子がたいそうな美人だったからだ……。



<<キャスト>>

[車寅次郎]
渥美清

[さくら]
倍賞千恵子

[春子]
栗原小巻

三崎千恵子
前田吟
津坂匡章 (秋野太作)
佐藤蛾次郎
太宰久雄
佐山俊二
村瀬幸子
関口銀三
浜村純
東光生
山本幸栄
北竜介
園田健二
今井健太郎
小田草之介
二見忠夫
小森英明
城戸卓
高木信夫
市山達己
川島照満
尾和義三郎
谷よしの
大塚君代
みずの皓作
大久保敏男
江藤孝
長谷川英敏
羽生昭彦
石井愃一
脇山邦子

[御前さま]
笠智衆

[隆太]
横内正

[吉田]
三島雅夫

[泥棒]
財津一郎

[おじちゃん]
森川信



<<スタッフ>>

[製作]
斎藤次郎

[企画]
高島幸夫

[原作]
山田洋次

[脚本]
山田洋次
宮崎晃

[撮影]
高羽哲夫

[美術]
宇野耕司

[音楽]
山本直純

[照明]
青木好文

[編集]
石井巖

[録音]
小尾幸魚

[調音]
松本隆司

[監督助手]
大嶺俊順

[装置]
小野里良

[装飾]
町田武

[進行]
福山正幸

[衣裳]
東京衣裳

[現像]
東洋現像所

[製作主任]
池田義徳

[主題歌]
「男はつらいよ」
星野哲郎 ・作詞
山本直純 ・作曲
渥美清 ・唄
(クラウンレコード)

[協力]
柴又・神明会

[監督]
小林俊一



<<プロダクション>>

[製作]
松竹