旅先で生き別れの母親の夢を見た寅次郎。
恩師のすすめで京都にいるという母親へ会いに行くが…。
恩師の娘への片思いもからめたシリーズ第2作。
続 男はつらいよ
1969
日本
93分
カラー
<<解説>>
山田監督は当初、“どうしようもなく愚かな男の物語”を撮ろうと考えていたという。最初期の作品である本作では、その監督の思惑通り、まだまだ寅次郎は愚かに描かれている。マドンナにのぼせた彼の行動は、浅はかであり、少しも相手のことを考えていなてい。また、シリーズ中で最も泣き虫でもある。まるで、中期から後期にかけた作品で、寅次郎に激励を受ける青年たちのようだ。第一作で、寅次郎は主人公としてこの世に誕生した。そして、第二作からの数作では、成長前の青二才・寅次郎の姿を見ることが出来るのである。
続編を作ることを考えずに前作ですべてを描いてしまい、今いる登場人物の間だけでは物語に進展が望めなくなってしまった「男はつらいよ」。“物語に進展が望めなくなった”ことは、いずれ“大いなるマンネリ”という怪我の功名となるのだが、本作では、主人公の周辺の人間関係を埋めることで物語の糸口を掴もうとしていたようでもある。母親役のミヤコ蝶々は強烈なインパクトを残すが、第7作『奮闘篇』で再登場した後、再び登場することはなくなった。やはり、寅次郎にはとってはさくらが母親代わりであり、実母は必ずしも必要な存在ではなくなったためだろうか。
シリーズを楽しむ上で記憶しておきたいのは、シリーズ初期で寅次郎の舎弟として幾度か登場する登(津坂匡章)の就職。この設定は第4作『新 男はつらいよ』で活かされることに。
<<ストーリー>>
柴又に帰ってきた寅次郎は、子供のころ通っていた英語塾の恩師、散歩先生と再会した。塾に通っていた頃にいじめていた先生の娘、夏子は美しい女性になっていて、寅次郎は一目ぼれ。先生の家に上がりこみ、すっかりご馳走になっていただ寅次郎は、胃痙攣を起こし、病院に運びこまれた。寅次郎は懲りずに院長の藤村と喧嘩。だが、それが藤村と夏子を引き合わせることに。
一ヶ月後、京都で行商をしていた寅次郎は、観光に来ていた先生と夏子と偶然、出くわした。実は寅次郎、生き別れの母親のお菊が京都にいると噂に聞き、ここで商売をしていたのだ。訳を知った先生は、生きているうちにお菊へ会いに行くことを寅次郎に強く勧めた。
寅次郎は夏子に付き添ってもらい、お菊が働いているというホテルに向った。だが、そこはホテルとは名ばかりの連れこみ旅館。さらに、お菊はこのホテルの経営者だった。寅次郎はお菊を見つけ、お菊も相手が息子だと気付いた。だが、お菊は開口一番、「金の無心に来た」など寅次郎に言い放った。
夢で見た母親の面影とのあまりの違いにショックを受けた寅次郎。すっかり落ち込んで柴又に帰ってきた彼に、“とらや”の面々もかける言葉がなかった……。
<<キャスト>>
[車寅次郎]
渥美清
[さくら]
倍賞千恵子
[お菊]
ミヤコ蝶々
[夏子]
佐藤オリエ
[藤村]
山崎努
三崎千恵子
前田吟
津坂匡章
(秋野太作)
風見章子
太宰久雄
佐藤蛾次郎
江端高志
山本幸栄
小田草之介
北竜介
大杉侃二郎
水木涼子
呉恵美子
高木信夫
土田桂司
市山達巳
千早旦子
藤間恵美
脇山邦子
石井愃一
[御前さま]
笠智衆
(特出)
[患者]
財津一郎
(特出)
[おじさん]
森川信
[散歩先生]
東野英治郎
<<スタッフ>>
[製作]
斎藤次郎
[企画]
高島幸夫
[脚本]
山田洋次
小林俊一
宮崎晃
[撮影]
高羽哲夫
[美術]
佐藤公信
[音楽]
山本直純
[照明]
内田喜夫
[編集]
石井巖
[録音]
小尾幸魚
[調音]
松本隆司
[監督助手]
大嶺俊順
[装置]
小野里良
[進行]
池田義徳
[現像]
東京現像所
[製作主任]
峰順一
[主題歌]
「男はつらいよ」
星野哲郎
・作詞
山本直純
・作曲
渥美清
・唄
[協力]
柴又神明会
[原作/監督]
山田洋次
<<プロダクション>>
[製作]
松竹