スランプ中のプロ野球選手につきまとうファンの中年男。
その行動はしだいに常軌を逸していく。
ファンからストーカーへ変貌する恐怖を描くサスペンス。

ザ・ファン

THE FAN

1996  アメリカ

116分  カラー



<<解説>>

有名人に対する執拗につきまといを題材にした映画というと、古くは『恐怖のメロディ』があったが、本作は日本でも“ストーカー”という言葉が定着したことろに公開されたもの。ストーカーを演じるのは、『タクシードライバー』、『ケープ・フィアー』など一連のスコセッシの作品で同様の役を演じてきたデ・ニーロ。彼にとってストーカー役は、もはや十八番芸であり、堅いキャスティングといえる。つきまとわれるプロ野球選手を演じるは、『ドロップ・ゾーン』や『マネートレイン』で注目を集めるウェズリー・スナイプス。
先にあげた『恐怖のメロディ』や『ケープ・フィアー』のようにも、付け狙われる側からストーカーの恐怖を描くのではなく、ストーキングする側にも同等の比重を置いてドラマを語るとろが本作の特徴。結局のところ、デ・ニーロ演じる中年男は潜在的なストーカーではあったが、はじめから異常な存在としては登場しない。衝動殺人を機に後戻りができなくなり、自分を追い詰め破滅していく中年男の姿には悲哀がある。つまり、ストーキングされる恐怖を描く一方で、いちファンがストーカー化する恐怖も描いて見せているのである。また、中年男がストーキング行為に走るようになったきっかけが、自分と同様に人生のスラプンに陥った選手への同情からというのも面白く、後半から終盤にかけては同じ悩みを抱える男同士の戦いが楽しめる。



<<ストーリー>>

ナイフのセールスマンのギルは、仕事がうまくいかず、離婚した妻からは息子のリッチ―に近づくことを禁じられてしまった。いまや彼の生きがいは、大好きなジャイアンツの試合の観戦だけとなった。
ある日、ギルはバーで、贔屓にしている野球選手のボビーが、彼の四番バッターを奪った外国人選手のプリモと背番号のことで揉めているのを目にした。スランプ中のボビーのために、ギルはプリモに背番号を返すよう頼むが、言い争いになり、相手をナイフで刺し殺してしまった。それからボビーの調子は良くなっていったが、彼が自分に何の恩も感じていないことにギルは苛立っていった。
ボビーを付回すようになったギルが、自宅で張りこんでいたときのこと、家の前の海でボビーの息子のシェーンが溺れていた。シェーンを助けたギルは、帰宅したボビーに感謝され、家に招き入れられることに……。



<<キャスト>>

[ギル・レナード]
ロバート・デ・ニーロ

[ボビー・レイバーン]
ウェズリー・スナイプス

[ジュエル・スターン]
エレン・バーキン

[マニー]
ジョン・レグイザモ

[ユアン・プリモ]
ベニチオ・デル・トロ

[エレン・レナード]
パティ・ダーバンヴィル=クイン (パティ・ダーバンヴィル)

[ティム]
クリス・マルケイ

[リッチー・レナード]
アンドリュー・J・ファークランド

[ショーン・レイバーン]
ブランドン・ハモンド

[警官]
チャールズ・ハラハン

[ギャリティ]
ダン・バトラー

[バーニー]
カート・フラー

[ダフ屋]
マイケル・ジョイス

[バーテンダー(レオン)]
フランク・メドラーノ

[ストゥーク]
ドン・S・デイヴィス

[レンズ]
ジョン・クラック

[ザモラ]
ストーニー・ジャクソン

[ジェイダー]
ブラッド・ヘンク (ブラッド・ウィリアム・ヘンク)

[バロウズ]
ドリュー・スナイダー



<<スタッフ>>

[キャスティング]
エレン・ルイス

[音楽]
ハンス・ジマー

[音楽監修]
シャロン・ボイル

[衣装デザイン]
リタ・ライアック
ダニエル・オルランディ

[共同製作]
マーガレット・フレンチ・アイザック

[編集]
クリスチャン・ワグナー
クレール・シンプソン

[美術]
アイダ・ランダム

[撮影]
ダリウス・ウォルスキー

[製作総指揮]
ビル・アンガー
ジェイムズ・W・スコッチドポール
バリー・M・オズボーン

[原作]
ピーター・エイブラハムズ

[脚本]
フォエフ・サットン

[製作]
ウェンディ・フィネルマン

[監督]
トニー・スコット



<<プロダクション>>

[提供]
トライスター映画
マンダレイ・エンタテインメント

[製作]
ウェンデ・フィネルマン
スコット・フリー