異常者に部屋を貸してしまったことから、執拗な嫌がらせを
受けることになったカップルを描くサスペンス・スリラー。

パシフィック・ハイツ

PACIFIC HEIGHTS

1990  アメリカ

102分  カラー



<<解説>>

シュレシンジャー監督は代表作『真夜中のカーボーイ』があまりに素晴らしかったために、特に晩年は低迷した感があったが、そんな中にあって本作は後期のいちばんの秀作となった。
サイコ犯を扱ったサスペンス・スリラーなのたが、決して派手な作品ではない。ショッキングなカットで観客を驚かせることもなければ、犯人が狂気を剥き出しにするような場面もない。冷静沈着でクレバーな犯人像が斬新で、彼が用意周到な作戦で合法的に主人公のカップルを追い詰めていく様をじっくり描かれていく。恐慌をきたすのは犯人のほうではなく、主人公のカップルのほうで、もがけばもがくほど犯人の思う壺にはまっていく様がいたたまれない。犯人が一線を超えないため、実力行使に及べないところがまた理不尽であり、無力感を容赦がなく植え付けるマゾヒスティックな展開が秀逸。
このまま観客にストレスを与えただけで終わらせないところが『マラソンマン』のシュレシンジャー。精神的にじわじわと追い詰めていき、最後に一ひねり用意しているところは、やはり『マラソンマン』と似ているが、現実に起こりかねないシチュエーションに合わせ、物語の流れも必然的であるがために、より真に迫った恐怖となっている。



<<ストーリー>>

結婚を控えた若いカップル、ドレイクとパティは古い大きな邸を手に入れた。邸の修繕に大金がかかったため、二人はローンの返済のために部屋の一部を貸すことにした。間借り人の募集にやってきたのはワタナベという日本人夫婦とヘイズという男。ところが、このヘイズが曲者で、入居した日から彼のたてる妙な物音にドレイクとパティは悩まされることになった。実は、ヘイズは家主を困らせて金を脅し取ることを生業としていたのだった。
日増しにエスカレートする嫌がらせに我慢できなくなったドレイクは訴訟に踏み切った。だが、裁判は嫌がらせの証拠を残さないヘイズの方に有利に運んだ。その後、事態は悪くなる一方で、ワタナベ夫妻には出ていかれてしまうし、妊娠していたパティはストレスから流産してしまった……。



<<キャスト>>

[パティ・パルマー]
メラニー・グリフィス

[ドレイク・グットマン]
マシュー・モディン

[カーター・ヘイズ]
マイケル・キートン

[トシオ・ワタナベ]
マコ

[ミラ・ワタナベ]
ノブ・マッカーシー

[ステファニー・マクドナルド]
ローリー・メカルフ

[ルー・ベイカー]
カール・ランブリー

[デニス・リード]
ドリアン・ヘアウッド

[グレッグ]
ルカ・ベルコヴィッチ

[フロレンス・ピータース]
ティッピー・ヘドレン

[リズ・ハミルトン]
シーラ・マッカーシー



<<スタッフ>>

[監督]
ジョン・シュレシンジャー

[製作]
スコット・ルーディン
ウィリアム・サックハイム

[製作総指揮]
ジェイムズ・G・ロビンソン
ジョー・ロス

[企画]
ゲイリー・バーバー
デイヴィッド・ニックセイ

[共同製作]
デニス・E・ジョーンズ

[撮影]
アミール・M・モクリ

[脚本]
ダニエル・パイン

[音楽]
ハンス・ジマー

[美術]
ニール・スピサック

[編集]
マーク・ワーナー

[衣装デザイン]
ブリジット・ケリー
デブラ・シュット

[キャスティング]
マリ・フィン