仮釈放で再会した黒尽くめの二人の男“ブルース・ブラザーズ”が、
昔世話になった養護施設を救うためにバンドを再結成する。
「サタデー・ナイト・ライブ」の人気キャラの活躍する音楽コメディ。

ブルース・ブラザース

THE BLUES BROTHERS

1980  アメリカ

133分  カラー



<<解説>>

1975年から放送がはじまったテレビ・ショウ「サタデー・ナイト・ライブ」は、ビル・マーレイやエディ・マーフィ、後にはマイク・マイヤーズなどのスターを輩出してきた人気番組。彼ら出演者が演じる数々のキャラクターも番組の人気を支えていて、これまでにも『ウェインズ・ワールド』、『コーンヘッズ』などで映画化されている。“ブルース・ブラザース”は、番組の絶頂期に他のキャラクターに先駆けてテレビの枠を飛び、映画化されてしまった最大のヒットキャラである。
いわゆる企画物の作品なのたが、“ブルース・ブラザース”のキャラクターだけでお茶を濁すような作品になっていない。本来のコメディのみならず、音楽やアクションも妥協なく作りこまれていて、極上のエンターテインメント作品に仕上がっている。
「サタデー・ナイト・ライブ」はコントと音楽ライブで構成されていたが、その番組のノリをミュージカルという形でスクリーンにも再現している。続々と登場する有名スター歌手を迎えてのレビュー・シーンは圧巻で、音楽映画としての完成度も高い。
アクション面では、クライマックスに一大カーチェイスが用意されていて、クラッシュに継ぐクラッシュには度肝も抜かれる。壊した車の台数はハリウッド屈指なのではないだろうか。
本気で取り組んだ音楽とアクションは、思わずのけぞってしまうくらいにが強烈だが、やっぱり基本はコント。黒いソフト帽に黒いスーツ、そして、サングラスというギャング風スタイルのでこぼこコンビ。その二人がに飄々と繰り広げるギャグの数々こそ、この映画の肝なのである。
スカしたルックスの“ブルース・ブラザース”だが、二人の放つギャグは決してスカしていない。レトリックやロジックにとらわれず、くだらないイタズラや爆発がギャグの中心という馬鹿馬鹿しさは、ドリフに近いものを感じされるのだが(ドリフがSNLから影響?)、そのドリフが時代を超えて色あせないのと同じように、そのストレートでシンプルなギャグは普遍的だ。
馬鹿なことを馬鹿っぽくやらないところが、“ブルース・ブラザース”のクールなところ。また、どんな危機的な状況でも、まったく関係ないことを考えたりやったりする、ボケやツッコミを越えた独特のマイペースっぷりもかっこいい。そんなかっこよさと面白さを合わせ持っているところも“ブルース・ブラザース”の人気の理由だろう。もちろん、現在でも根強いファがあり、ジョン・ベルーシが他界後の1998年には待ちに待たれた続編も公開された。



<<ストーリー>>

仲間を庇い強盗の罪で懲役五年を言い渡されていたジェイクは、イリノイ州ジョリエット刑務所を三年ぶりに出所した。黒いソフト帽にサングラス、そして、黒いスーツに身を包んだジェイクを出迎えにきたのは、そっくり同じ格好をしたエルウッド。二人は、かつて、“ブルース・ブラザース”というバンドを組んでいた兄弟分である。
ジェイクとエルウッドは子供の頃世話になっていた「聖ヘレン養護施設」のシスター・メアリー、通称“ペンギン”に挨拶に向った。“ペンギン”はジェイクとエルウッドに、固定資産税の五千ドルが払えないために施設が存続の危機に立たされていることとを打ち明けた。施設の力になりたいと思ったジェイクとエルウッドだったが、助ける方法としては強盗ぐらいしか思いつかなかった。
教会でジェームズ師のR&Bによる説教を目の当たりにしたジェイクは、その瞬間、神の啓示を受け、バンドを再結成させることを思い立った。ジェイクと、彼の提案の乗ったエルウッドは、バーのステージに立っていたマーフや、レストランの支配人になっていたファビュラスや、ソウル・フード店を営んでいたマットなど、かつての仲間に声をかけ、半ば強引にバンドに引き入れていった。バンド・メンバーを集めている間、ジェイクとエルウッドは謎の女に執拗に命を狙われたり、街頭演説を邪魔されたイリノイ・ナチに恨まれたりしたのだった。
再結成されたブルース・ブラザースの初ステージの場はカントリー・バーだった。その日出演予定だった“グッド・オールド・ボーイズ”の名を騙り、ステージに上がったジェイクとエルウッドだったが、突然のR&Bに観客のブーイングを浴びることに。結局、カントリーやウエスタンでお茶を濁したジェイクとエルウッド。受け取るはずの出演料も、調子に乗って飲みまくったビール代に消えてしまった。さらには、そこへ本物の“グッド・オールド・ボーイズ”が現れてしまい、ジェイクとエルウッドは慌てて逃げ出すのだった。
結局、ジェイクとエルウッドはエージェントのスラインに相談することに。そして、郊外にある“パレス・ホテル”のホールでコンサートを開くことが決まった。試算によれば、五千の客席が満杯になれば、五千ドルの金が作れることになる。さっそく、施設の子供たちを総動員して、コンサートを宣伝を開始。ジェイクとエルウッドも愛車の払い下げパトカーで町中を走り回り、自ら宣伝活動を展開するが、当日、肝心の“パレス・ホテル”へ向かう行く途中にガス欠になってしまった。
一方、コンサート会場では、席を埋め尽くした観客たちがジェイクとエルウッドの登場を今や遅しと待っていた。また、会場には、犯罪の常習であるジェイクとエルウッドを逮捕するため、州警察のマーサーが機動隊を引き連れ待ち受けていた……。



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