映画の撮影中、フィルムに映りこんだ謎の映像。
監督にはその映像に見覚えがあった。
撮影スタジオを舞台にしたオカルト・ホラー。
女優霊
1996
日本
75分
カラー
<<解説>>
『リング』でジャパニーズ・ホラー・ブームを牽引することになる中田監督のデビュー作。不可解な映像を恐怖演出として用いたり、不気味な白装束の女の登場させたりなど、『リング』のルーツとも言える内容となっている。
観客を怖がらせるためには、自分にとっていちばん恐ろしいものを見せれば良い、という発想でおそらく作られたと思われる本作は、監督にとって身近な撮影スタジオを舞台としている。学校や会社など、夜に人気(ひとけ)のない大きな空間というものは、人の想像力をかきたてるもので、怪談のひとつやふたつはつき物である。しかし、本作はただの怪談話では終わらず、既視感や錯覚の不可思議さを加えている。「見たかもしれない」あるいは「見えたかもしれない」という曖昧な感覚を、曖昧な映像で再現しているところが面白い。女の幽霊の見切れ方が絶妙なので、よーく目を凝らしての観賞がおすすめだ。
<<ストーリー>>
とある撮影スタジオ。新人監督・村井がはじめて手掛ける作品の撮影が快調に進んでいた。ところが、カメラテストに使ったフィルムに、まったく関係のない映像が写りこんでいた。過って未現像のフィルムを使ってしまったようだが、村井にはその映画を小学生の頃にテレビで見た覚えがあった。もう一度、フィルムを確認した村井は、フィルムの女優の背後に白い服で長い髪の女が見えたような気がし、ぎょっとした。そのまま撮影は続けられたが、野外での撮影の休憩時間、村井は、新人女優・沙織の背後のロケバスの窓にあの“女”の幻を見た。
その頃、主演女優のひとみは事務所の移籍の件で女社長トキコと揉めていた。ある日、スタジオに例の件を話し合うためにトキコがやって来たが、スタジオに入るなり顔色を変えた。トキコはひとみにお守りを渡すと、逃げるようにスタジオを出て行った。その直後、天井に上がって遊んでいた沙織が転落死した。転落の直前、沙織の背後に“女”が迫っているのを見ていた村井は、ネガ編集の六さんにフィルムのことを尋ねた。だが、フィルムはすでに燃やされてしまった後だった。
事故の影響で、撮影はいったん中断されることになった。その夜、村井は母親に日記を確認してもらい、あの映画を見た日を絞り込んだ。そして、翌日、図書館で縮刷のラテ欄を調べていた村井は偶然、撮影スタジオでの転落死亡事故の記事を記事を目にした。あのフィルムの女優のことに違いなかった……。
<<キャスト>>
柳ユーレイ
白島靖代
石橋けい
大杉漣
菊池孝典
日比野玲
サブ
小林宏史
芹沢礼多
李丹
飯島大介
小島なおみ
染谷勝則
吉田祐健
三島陸太郎
月城宏美
村田陵平
小沢しのぶ
奥田徹
古川照之
高橋誠
三浦ユリ
植松康郎
湟野誠
北風太郎
後藤理絵
根岸季衣
高橋明
<<スタッフ>>
[プロデューサー]
仙頭武則
小林広司
[協力プロデューサー]
柘植靖司
大澤茂樹
(にっかつ撮影所)
[脚本]
高橋洋
[音楽プロデューサー]
高木健次
(セブンノーツ)
[音楽]
河村章文
(セブンノーツ)
[撮影]
浜田毅
(J.S.C.)
[照明]
渡邊孝一
[録音]
武進
[美術]
斉藤岩男
[編集]
掛須秀一
(J.S.E.)
[スクリプター]
吉田真弓
(J.S.S.)
[製作担当]
高橋伸行
[助監督]
日垣一博
[特別協力]
にっかつ撮影所
[制作協力]
ピターズ・エンド
[原案/監督]
中田秀夫