高級車窃盗組織を追うベテラン刑事と新米刑事の姿を描くポリス・アクション。
ルーキー
THE ROOKIE
1990
アメリカ
121分
カラー
<<解説>>
イーストウッドが自身とはキャラクターがまったく異なるヤングアダルトの代表格チャーリー・シーンを相棒役に迎えているところや、あえて“ダーティハリー”を引きずったようなキャラクター設定にしたところは、やはり世代交代といったテーマを意識しているようだ。イーストウッドが扮するのは、破天荒で執念深いベテラン刑事という得意の役どころ。その過激な仕事ぶりで、シーン扮するナイーブな新米刑事を驚かせたりする。ここで、ベテラン叩き上げ刑事とお坊ちゃまエリート刑事の二人の対立や交流が期待されるところだが、説教くさくなるのを嫌うように、言わず語らずなところがイーストウッドらしい。淡々とした語り口は、「リーサル・ウェポン」シリーズあたりの軽さとは対照的で、異色のバディ・ムービーとなっている。後半は、ついにブチキレたお坊ちゃまの暴走がハイライトとなっていて、クライマックスの空港でのチェイスまで見せ場に欠かない。シーンの若い怒りに対し、一方のイーストウッドは老練な活躍を見せる。監禁されたベテラン刑事と宿敵やその情婦との駆け引きは、ファンも納得のいく出来栄えだ。
<<ストーリー>>
高級車専門の窃盗組織を追いつづけるロス市警車輌盗難課の巡査部長ニック・プロブスキーは葉巻とクラッシック・バイクの好きな変わり者。ある夜、ニックは窃盗の現場を押さえるが、相棒のパウエルを殺され、派手なカーチェイスの甲斐なく、犯人のロコ・マルティネスとブラックウェルも取り逃がしてしまった。
怪我から回復し、職場に復帰したニックは、事件が殺人課に回されることを知り、上司のレイ・ガルシア警部補に食って掛かった。その時、彼の横にはこの場に似つかわしくないスーツの若者がつっ立っていた。ニックは若者を部屋から追い出そうとするが、レイから新しい新しい相棒のデビッド・アッカーマンと紹介された。デビッドは法科出身のエリートだったが、幼い頃に兄ジョーイを見殺しにしてしまったことで自分を責め続け、あえて危険な仕事である警官の道を選んだのだった。
ニックは挨拶も説明もそこそこに、さっそくデビッドを伴い高級ホテルに向かった。そして、窃盗組織のボスのドイツ人ストロムを見つけると、パウエルのバッジを叩きつけた。続いて、ニックはデビッドを自動車修理工場に連れて行くと、修理工のマックスと話し、そこを盗難車の整備に使っているストロムを牽制した。
デビッドはおとなしくニックについて回っていたが、彼の荒っぽい捜査を見ているのがやっとで、あとは足をひっぱるだけ。酒場を訪ねた時には、デビッドが店主のフェリックスから情報屋の居場所を聞き出している間、酔っ払いから喧嘩を売られ、スクラップ工場でニックが情報屋のモラレスを絞り上げている間には、苦手な犬に追いまわされる始末だった。
ニックの強引な捜査が実を結び、修理工場が摘発されると、ストロムはロスに見切りをつけて、情婦のリースルと一緒に海外へ逃亡することを決心。だが、逃亡には多額の資金が必要だった。ニックは盗聴という手段を使い、ストロムがカジノクラブ襲撃を計画していることを事前に掴んだ。だが、そんなニックの法律スレスレのやり方やストロムへの執着に、さすがのデビットも嫌気が差してきていた。
ニックとデビッドはたった二人でカジノクラブに乗り込み、金庫室を漁っていたストロム一味を取り押さえた。だが、その時、リースルがデビッドの未熟さに気付き彼に迫った。銃の引き金を引くことにためらったデビッドは、リースルから背中に数発の銃弾を浴びせられ、その場に倒れた。結局、金庫には売上金が置かれてなかった上、店は警察に包囲された。ストロムはニックを人質にすると、警察に身代金200万ドルを要求し、その場から脱出した……。
<<キャスト>>
[ニック・プロブスキー]
クリント・イーストウッド
[デビッド・アッカーマン]
チャーリー・シーン
[ストロム]
ラウル・ジュリア
[リースル]
ソニア・ブラガ
[ユージーン・アッカーマン]
トム・スケリット
[サラ]
ララ・フリン・ボイル
<<スタッフ>>
[音楽]
レニー・ニーハウス
[編集]
ジョエル・コックス
[美術]
ジュディ・カマー
[撮影]
ジャック・N・グリーン
[製作]
ハワード・カザンジャン
(ハワード・G・カザンジャン)
スティーヴン・シーバート
デイヴィッド・ヴァルデス
[脚本]
ボアズ・イエーキン
スコット・スピーゲル
[監督]
クリント・イーストウッド
[提供]
ワーナー・ブラザース
[製作]
マルパソ