ロスの凄腕刑事が犯罪者の子供が通っている幼稚園に保父として潜入するコメディ。

キンダガートン・コップ

Kindergarten COP

1990  アメリカ

111分  カラー



<<解説>>

シュワルツェネッガーが『ツインズ』に続いて主演したコメディ。監督も『ツインズ』のライトマン。冒頭はポップなタイトルに反し、ハードな刑事ものといった感じで、シュワ扮する刑事が“ダーティハリー”ばりの法律を無視した傍若無人っぷりを見せつける。そんな血も涙もない強面刑事がなぜか幼稚園の先生になるのだから、可笑しくないわけがない。ギャングのような子供たちに振り回され、さっそくブチキレるシュワ。しかし、子供たちと接するうちに、ロスでの犯罪者相手の生活で荒んでいた心が和んでいく……。“あのシュワが保父に”といワンアイデアの作品ながら、生徒が教師に心を開くという普通の学園者とは逆に、教師の方が生徒に心を開いていくという意外な物語に見事に昇華しているところが素晴らしい。活きいきとした幼稚園児たちや、主人公の成長を見守る相棒パメラ・リードなど脇の芝居も良く、コメディ初心者シュワが物語の中だけでなく役者としても彼らに支えられていたようだ。ライトマンが『アニマル・ハウス』あたりの悪ガキっぷりを発揮した子供たちの描写はなかなかブラックなので、どちらかというと大人向けのコメディかもしれない。



<<ストーリー>>

ロサンゼルス警察のジョン・キンブル刑事は四年もの間追いつづけていた麻薬密売組織の一員クリスプをショッピングモールで発見。クリスプは彼の金を奪って逃げた妻レイチェルの居場所を探していて、その情報を売りつけようとしたダニーを射殺して立ち去った。キンブルは物陰に隠れていたダニーの恋人シンディを証人にしてクリスプを逮捕するが、レイチェルにつながる手がかりは子供がオレゴン州アストリアの幼稚園に通っているとうことしか得られなかった。
キンブルはレイチェルと司法取引するため、フィービー・オハラ刑事と共にオレゴンへ向かった。教師の経験のあるフィービーが幼稚園に教師として潜入して、クリスプの子供を特定する計画である。ところが、彼女が飛行機の中で原因不明の食中りを起こして動けなくなってしまい、代わりにキンブルが幼稚園に向かうことに。彼には別れた妻との間に子供がいたが、教師の経験はないし、大勢の六才児を相手にするのも当然はじめて。潜入捜査に非協力的な校長のシュロウスキーも彼が直ぐに逃げ出すと踏んでいた。
教室に入ってきた大男キンブルに子供たちは興味津々。ところが、ちょっと目を離した隙に、子供たちは言うこと無視して騒ぎだし、キンブルは思わず大声を張り上げ、子供たちを泣かせてしまった。校長の予想通り、赴任早々にキンブルは教室を飛び出してしまうが、こんなこともあろうかと用意していたフェレットで子供たちの気を引き、どうにか一日目をやり過ごしたのだった。
二日目。キンブルは子供たちに父親のことを話させ、クリスプの目星をつけていった。父親がカリフォルニアにいるというシルベスターも候補に挙げられたが、派手な母親ジリアンの話では父親は男と逃げたいうのでシロ。本命は授業が終わると母親と逃げるように返ってしまうザック・サリバンだった。その夜、キンブルとフィービーはレストランで、幼稚園の向かいの教室で小学生を担当している教師ジョイス・ポールマレーとその息子ドミニクとばったり出くわした。フィービーはキンブルの様子から彼がジョイスに気があることを見抜いていた。
フィービーから「子供には強気で出ないと負け」と忠告されたキンブルは“警察学校ごっこ”のアイデアを思いついた。キンブルはホイッスルを合図にして行動するというゲームで、子供たちの心を掴むことに成功。教師として自身をつけたキンブルはこの仕事も楽しくなってきたが、子供たちの姿を見ていると時折、五才で別れたきり七年前も会っていない娘アレックスのことを思い出すのだった。
ある日、キンブルはジョイスの方から彼女の自宅へ食事に招かれた。ドミニクが悪人に追われているなどと言っていたことを思い出したキンブルは、ジョイスがレイチェルかもしれないと思い、それとなく探りを入れた。彼女の身の上話を聞くうちに確信が高まっていったキンブルだったが、フィービーからは、ジョイスへの恋心を断ち切るための口実だと言われてしまった。事実、彼女のことをいくら調べても、大金を持っている様子がなかったのだ……。



<<キャスト>>

[キンブル]
アーノルド・シュワルツェネッガー

[ジョイス]
ペネロープ・アン・ミラー

[フィービー]
パメラ・リード

[ミス・シュロウスキー]
リンダ・ハント

[クリスプ]
リチャード・タイソン

[エレノア・クリスプ]
キャロル・ベイカー

[シルベスターの母親]
キャシー・モリアーティ

[ドミニク]
ジョセフ・カズンズ
クリスチャン・カズンズ



<<スタッフ>>

[キャスティング]
マイケル・チニチ

[音楽]
ランディ・エデルマン

[衣装デザイン]
グロリア・グレシャム

[製作補]
シェルドン・カーン
ゴードン・ウェッブ (ゴードン・A・ウェッブ)

[編集]
シェルドン・カーン ,A.C.E.
ウェンディ・グリーン・ブリックモント

[美術]
ブルーノ・ルビオ

[撮影]
マイケル・チャップマン

[製作総指揮]
ジョー・メジャック
マイケル・C・グロス

[脚本]
マーレイ・セイラム
ハーシェル・ワイングロッド
ティモシー・ハリス

[原案]
マーレイ・セイラム

[製作]
アイヴァン・ライトマン
ブライアン・グレイザー

[監督]
アイヴァン・ライトマン

[提供]
イマジン・エンタテインメント