独身タフガイ刑事の家に超過保護なママが訪ねてきて大弱り。
母子コンビが巻き起こす騒動を描くコメディ。

刑事ジョー
ママにお手あげ

STOP! OR MY MOM WILL SHOOT

1992  アメリカ

87分  カラー



<<解説>>

「ロッキー」シリーズや数々のポリスもので、アクション・スターの地位を不動のものにしたスタローン。一般に定着した“マチッョ男”というイメージを打開しようとしたかはどうかは分からないが、自らのキャラクターを逆手に取った捨て身の一発ギャグをかましたのが、本作である。あのスタローンがマザコン? なんて想像するだけで吹き出しそうなシチュエーションを映像化。見てくれはタフでワイルドな刑事が、ママには振り回され、女性の上司にも頭が上がらないという、醜態をさらしまくるところが笑いどころ。スタローンのこれまでの主演作をパロッた世界観で、あちらの弱肉強食の世界とは価値観がひっくり返っているところが愉快だ。刑事とママが非公式のコンビを組んで、武器の密売組織に挑んでいくというのがメインのストーリーで、そこにライバル刑事との確執や女性上司とのロマンスをからめていく。夢の中でスタローンがオムツ姿になったり、ママにシュワちゃんの命台詞「I will be back!」を言わせたりと、自虐的なギャグにも挑んでいるが、どうもスタローンはシュワちゃんのようにコメディアンに徹することが出来ないようだ。彼の照れが画面からひしひしと伝わっきて、なんとも気恥ずかしいのだが、奇しくもこの気恥ずかしさが、自分も過保護ママに付きまとわれているかのような感覚を与える効果をあげている。そういった意味では奇妙な味のある作品に仕上がったと言えよう。



<<ストーリー>>

ロス市警の刑事ジョー・ボモウスキーは、現場ではやり手だが、出世街道から外れて巡査部長止まり。上司の警部補グウェンとは署内周知の恋人関係だったが、今一歩を踏み出せず、いまだ独身だった。何はともあれ気ままな生活を送っていたジョーのもとへ、ニューアークで一人暮らしをしていたママが愛犬のピクシーを連れて訪ねてくることになった。ジョーが空港へ迎えに行くと、なぜか搭乗口から出てきた客の間でジョーのことが知れ渡っていた。ママが普段持ち歩いているジョーの写真を客たちに見せびらかしていたのだった。
家に買える途中、ビルから飛び降りようとしている若者に遭遇したジョーは、刑事として説得に向かった。だが、拡声器を取り上げたママが子供じぶんのジョーの恥を晒し、あべこべに自殺志願の若者から同情されることに。それほどまでに、ママは異常な過保護なのであった。いつまでたってもジョーを子供扱いしてるママは、家に着くとそっそく部屋の掃除を開始。銃まで洗剤でピカピカにしてしまったママに、先が思いやられたジョーは頭を抱えるのだった。
銃の塗料まで剥がして使い物にならなくしてしまったママは、ジョーの留守中に新しい銃を買いに出かけた。すぐに銃を手に入れたかったママは、正規の店を避けてダウンタウンの二人組みの密売人から買った。だが、その直後、売人が車から襲撃され、一人が射殺されるという事件に出くわした。あいさつのついでに署を訪ねたママは、襲撃事件を担当するロス刑事から目撃者として尋問を受けることになった。だが、ママは証言を二転三転させ、ロスを苛立たせるのだった。実は、ママは事件のことをはっきり覚えていて、ジョーと二人で捜査をすることを望んでいた。うまくいけば、ジョーの昇進もあると考えたのだ。
翌朝、ジョーはママからプレゼントされた銃が違法なものであることに気付いてびっくり。ママの覚えていた車種とナンバーから被害者を特定したジョーは、被害者の家にいた殺し屋のポーリーとマンローを車で追跡するが、逃げられてしまった。署で報告を受けたロスは激怒し、「証拠隠滅で逮捕する」とジョー親子を脅するが、すかさずママが「クソ野郎」と言い返した。この時ばかりはジョーもママを見直したのだった。
問題の銃は輸入品で倉庫に保管されていたが、その倉庫が火事になっていたことが調査で明らかになった。殺人事件に保険金詐欺がからんでいると考えたジョーとママは、倉庫の持ち主である輸入業者パーネルを訪ねた。パーネルがしぶしぶ教えた倉庫の住所に向かったジョーとママは、倉庫ごと什器で潰されそうになるが、倉庫から脱出し、近くにいたマンローを逮捕した。マンローを連行して署に戻ったジョーは、突然、グウェンからあついキスをお見舞された。自分のオフィスが花で飾られているのを見て、感激したあまりのことだったが、花はジョーのプロポーズではなく、実はママの仕業だった。
女心が汲めずにグウェンにフられてしまったジョーは、ついにママに怒り、二人で暮らすためのルールを一方的に押し付けた。だが、そんな自分の身の上を悲観したママの何気ない一言が、グウェンとの仲直りのヒントを与えることに……。



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