合衆国騎兵隊に最後まで抵抗した先住民アパッチ族の戦いを通じ、
伝説の戦士ジェロニモの姿を描く西部劇。

ジェロニモ

GERONIMO
AN AMERICAN LEGEND

1993  アメリカ

115分  カラー



<<解説>>

入植の歴史と先住民の抵抗というのは、西部劇の行き着く最後のテーマなのかもしれない。西部劇の巨匠ジョン・フォードが、最後の西部劇『シャイアン』で迫害される先住民を題材に選んだのも偶然ではないはずだ。また、九十年代はじめの西部劇リバイバルの時に、活劇ものと合わせて、本作や『ラスト・オブ・モヒカン』といった裏の歴史を扱った作品が登場したのは興味深い。
本作は、入植の歴史の悲劇の象徴とも言える英雄“ジェロニモ”を冠し、その内容も当然、彼のことを描いてはいるが、意外なほど、彼に思い入れの感じられないドラマとなっている。ジェロニモについて深く語るより、マット・デイモン演じる新兵の、目撃者としての中立的なひいた視点で、一連の事件を語らせていて、それにより、アメリカ軍と先住民のどちらにも偏らない内容になっている。どんなに熱心に説いても嘘にしかならないアメリカ人の先住民への同情をはじめから捨て、あえて事件だけを丁寧に描いていたのは、もっとも誠実と言えるのでないだろうか。言葉で説明しなくても、映画の大部分を占める戦闘シーンが、入植が両者にとっていかに非生産的で理不尽であったことを強烈に物語っている。



<<ストーリー>>

西部開拓時代。最後まで合衆国騎兵隊に抵抗していた先住民アパッチ族が、ついに降伏した。ゲイトウッド中尉と新兵デイビスは、リーダーのジェロニモの率いるアパッチを保留地まで移送する役目についた。ジェロニモたちは、ゲイトウッドに素直に従って来たが、保留地で白人の監視下に置かれることに怒り、反乱を起こした。
マイルズ准将は、大隊を編成して、保留地からアパッチの殲滅に乗り出した。ゲイトウッドとデイビスも、アパッチを追いかけるが、メキシコへ逃げられてしまった。軍はジェロニモと和平交渉を結ぼうとも試みたが、両者の意見は対立し、結局失敗に終わった。
マイルズからジェロニモの説得を命じられたゲイトウッドは、デイビスを連れてメキシコへ向かった……。



<<キャスト>>

[チャールズ・ゲイトウッド中尉]
ジェイソン・パトリック

[ジョージ・クルック准将]
ジーン・ハックマン

[アル・シーバー]
ロバート・デュヴァル

[ジェロニモ]
ウェス・ステューディ

[ブライトン・デイビス少尉]
マット・デイモン

[マンガス]
ロドニー・A・グラント

[ネルソン・マイルズ准将]
ケヴィン・タイ

[チャト]
スティーヴ・リーヴス

[スクーノヴァー]
スティーブン・マクハティ

[ヘンティグ大佐]
ジョン・フィン

[ジョー・ホーキンス元帥]
リー・デ・ブロー

[老人]
リノ・サンダー



<<スタッフ>>

[監督]
ウォルター・ヒル

[製作]
ウォルター・ヒル
ニール・カントン

[製作総指揮]
マイケル・S・グリック

[原案]
ジョン・ミリアス

[脚本]
ジョン・ミリアス
ラリー・グロス

[撮影]
ロイド・エイハーン

[音楽]
ライ・クーダー

[美術]
ジョー・アルヴス

[編集]
フリーマン・デイヴィス
カーメル・デイヴィス
ドン・アーロン

[衣装デザイン]
ダン・ムーア