江戸城大奥のお家騒動に巻き込まれた仕事人・中村主水の活躍を描く。
劇場版「必殺」シリーズの第6作。

必殺!
主水死す

製作年1996 年
製作国日本
上映時間100 分
色彩カラー



解説
池波正太郎「仕掛人・藤枝梅安」を原案とし、72年から現在まで放送され続けている「必殺」シリーズ。昼は堅気の暮らしをしているが、夜になると庶民に代わって悪人の暗殺を請け負う“仕事人”たちの姿を描いており、ハードボイルドな設定と奇抜で過激な暗殺描写で人気を博した異色の時代劇である。本作は、仕事人のリーダーとしてシリーズの顔となっている、藤田まこと演じる中村主水を主役とした劇場版の第六作で、前作『黄金の血』から五年ぶりの作品となった。
主水の登場するシリーズの完結編であることを暗示した題名であり、実際にいったんはこれで最終作となったが、これまでのシリーズを総括したと内容ではなく、はじめて明かされる過去や設定や、かつての仲間として初登場してくる仕事人たちに戸惑うファンも多いようだ。物語も仕事人よりも大奥でのお家騒動の方に重心が置かれており、さらに「実は○○は○○だった」という展開が乱発される込み入った話であるため、肝心の主水の活躍がぼやけている。“主水の死”というイベントを描いた特別編としていった趣ではあるが、終盤の老境のプロフェッショナルのプライドをかけた対決や、その後の非情な展開は悪くない。



ストーリー
江戸城の大奥では不穏な空気が流れていた。上臈年寄・姉小路と元老中・水野忠邦が、世継ぎ・家定の捨てられた双子の片割れを見つけ出し、将軍家を乗っ取ろうと企んでいたのである。姉小路らの陰謀に気付いた家定の母・お美津は、家定に後を継がせるため、掃除人・権の四郎に片割れの始末を指示。四郎は、暗殺の実行を仕事人・おけいに依頼した。
裏で仕事人稼業をしている同心・中村主水は、近頃ねんごろになっているおけいの持ってきた暗殺の仕事には難色を示し、仕事に参加することはなかった。その頃、主水は、謎の死を遂げた葛飾北斎の娘・お栄の依頼で、北斎を殺した犯人を捜していた。そして、北斎が最後に描いた似顔絵にそっくりな大道芸人と町で出くわした。
捨蔵という名のその大道芸人は、男の格好をしていたが、実は女であった。そして、捨て子だった彼女を育てた三味線弾き・お夢は、主水のかつての仕事仲間・お千代であった。お夢の過去の記憶は古傷のせいで失われていて、お千代だったことや主水のことも覚えていないようだった。
お栄が何者かに殺された。主水は、例の似顔絵と大奥のお家騒動の関係に気付き、北斎親子を殺したのが、姉小路一派の仕業と考えた。主水は、おけいら仲間たちと共に、姉小路と忠邦を討つ仕事を計画。四郎も主水の説得で仕事に手を貸すことになった。だが、お栄殺害の真犯人は別にあり、主水を巻き込む別の陰謀が動き始めていた……。