旅先の旅館の女将に一目ぼれした寅次郎は番頭として働き始める。
シリーズ第3作。
男はつらいよ
フーテンの寅
製作年 | 1970
年
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製作国 | 日本 |
上映時間 | 90
分
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色彩 | カラー |
監督が山田洋次から第一作の脚本を書いた森崎東に交代。マドンナと恋物語が旅先のみで完結する珍しい作品として知られているが、それは、第二作目からの製作期間が身近すぎたためとも言われている。
見合い相手の復縁を手伝ってしまう前半のエピソードと、マドンナの弟を駆け落ちさせてやったりする後半のエピソードには、どちらも寅次郎の面倒見の良い人柄がよく現れている。しかし、面倒見が良いには良いが、おしなべて無責任であり、これが本作の笑いどころになっている。この厄介な性格は、後の作品でもトラブルの引き金となることが多い。
旅先の温泉地の出来事を主に描いているため、寅次郎の出で立ちは、おなじみの帽子にスーツより、番頭の格好のほうが多い。また、本来、どこへ赴こうが場違いな存在であるはずの寅次郎が、思いのほか旅館に馴染んでいるのも奇妙。番頭として真面目に働き、他の旅館の従業員と対等に付き合っているところは、「男はつらいよ」ではなく、渥美清主演の別の喜劇映画を観ているような感じさえする。
「男はつらいよ」とはちょっと違う魅力が出ているのも、やはり、監督によるキャラクターの解釈も違によるものだろうか。寅次郎のコメディリリーフとしての面が強調された演出が多用されていることも、それを裏付けるもののひとつかもしれない。とにかく、大事な場面でよくコケるのだ。シリーズでもっともズッコケが印象に残る一作となった
寅次郎が商売の旅から柴又に帰ってきて早々、“とらや”の裏の印刷屋の社長・梅太郎から縁談を紹介された。寅次郎は緊張の面持ちで見合い相手と対面するが、それは旧知の女性である駒子だった。彼女の語るところによれば、為吉という男に妊娠させられ、その挙句に捨てられたのだという。
駒子の身の上に同情した寅次郎は、為吉を呼び出し、二人の仲を取り持った。そして、駒子と為吉を結婚に導いた。だが、竜造と博は、寅次郎のためと思って用意した縁談が、あまりにデタラメに結果になったことに憤慨。竜造、博と大喧嘩した寅次郎は、そのまま旅に出たのだった。
それから一月後、竜造とつねは湯の山に慰安旅行に出かけた。二人は宿泊した旅館で、そこの女将に惚れ、番頭として居座ったおかしな男の話を聞いた。そして、その話の男が部屋にやってきたが、なんと、それは寅次郎だった。竜造とつねはあきれ返って、東京へ帰っていった。
女将・お志津に片思いをする寅次郎だったが、その一方で、芸者・染奴に恋するお志津の弟・信夫の指南を引き受けることになった。寅次郎は、染奴を芸者に売ったヨイヨイの父・清太郎を説得し、染奴と信夫の二人を駆け落ちさせるのだった。
そのころ、お志津は大学教授・吉井との婚約がまとまり、旅館を売る決心をしていた。だが、彼女は寅次郎に気を遣い、何も言い出せずにいた。結局、女中から事実を打ち明けられた寅次郎はショックを受け、旅に出る決心をした。旅立ちの前に旅館に寄った寅次郎は、障子越しにお志津へ別れのあいさつをするが、すでにそこに彼女は居ないのであった。
キャスト
車寅次郎
| 渥美清
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お志津
| 新珠三千代(東宝)
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さくら
| 倍賞千恵子
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染奴
| 香山美子
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信夫
| 河原崎健三
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博
| 前田吟
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駒子
| 春川ますみ
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つね
| 三崎千恵子
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お澄
| 野村昭子
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旅館の女中
| 悠木千帆(樹木希林)
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千代
| 佐々木梨里
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吉井
| 高野真二
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徳爺
| 左卜全
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源吉
| 佐藤蛾次郎
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梅太郎
| 太宰久雄
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為吉
| 晴乃ピーチク
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茂造
| 晴乃パーチク
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| 山本幸栄
土田桂司
高杉和宏
高木信夫
大杉侃二朗
花井緑太郎
石井愃一
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アナウンサー(中部日本放送)
| 山内光男
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| 光映子
白川恵子
水木涼子
秩父晴子
藤間恵美
脇山邦子
坂田多恵子
坂井久美(ひまわり)
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竜造
| 森川信
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御前様
| 笠智衆(特出)
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清太郎
| 花沢徳衛
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スタッフ
製作
| 上村力
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企画
| 高島幸夫
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原作
| 山田洋次
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脚本
| 山田洋次
小林俊一
宮崎晃
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撮影
| 高羽哲夫
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美術
| 佐藤公信
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音楽
| 山本直純
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照明
| 青木好文
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編集
| 杉原よ志
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録音
| 鈴木正男
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調音
| 佐藤広文
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監督助手
| 熊谷勲
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装置
| 横手輝雄
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進行
| 萩原辰雄
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現像
| 東京現像所
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製作主任
| 池田義徳
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主題歌
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「男はつらいよ」
星野哲郎 ・作詞
山本直純 ・作曲
渥美清 ・唄
(クラウン)
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協力
| 三重県 湯の山温泉
近鉄観光ホテル
湯の山ホテル
柴又神明会
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衣裳協力
| 鳴河株式会社(きもの)
いづくら(帯)
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監督
| 森崎東
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