サイボーグ警官ロボコップと
犯罪者の脳を使って作られた新型サイボーグとの死闘。
ロボコップ2
原題 | ROBOCOP 2 |
製作年 | 1990
年
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製作国 | アメリカ |
上映時間 | 82
分
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色彩 | カラー |
サイボーグの警官の活躍する人気シリーズに二作目。監督は一作目をヒットさせたバーホーベンに代わり、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』、『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で知られる“続編・リメイク職人”アーヴィン・カーシュナー。主演のピーター・ウェラー他、主要キャストは続投。
人間が機械化されることで、皮肉にも浮かび上がる人間の尊厳。そいうった哲学的なテーマはそのままだが、ドキュメンタリー的手法がほとんど踏襲されずに毒気は薄れた分、本作はバイオレンス・アクションとして痛快な作品に仕上がっている。製作費が増えたために派手になるという、ヒットシリーズの続編のパターンに倣い、爆発、炎上、破壊の量が増えただけでなく、質的にもより過激でグロテスクになっている。
廃工場での犯罪組織とのボスとの追跡劇、オムニ社ビルでの新型サイボーグ(ロボット)との死闘といったシーンが前作と共通していて、焼き直し感は否めないが、前作で不完全燃焼だった部分が、ちゃんとかっこよくアップデートされているところが素晴らしい。前作の警備ロボットED209は、ストップモーションアニメの名匠フィル・ティペットが手掛けたにしては、微妙な仕上がりだったが、クライマックスのロボコップVSロボコップ2の死闘でリベンジを見事に果たした。アニメの動きが細やかでスピーディになっただけでなく、ビルの設備を活用した縦横無尽な展開が、とにかく熱い。
デトロイト市警察がストライキを決行して挑んだオムニ社との労使交渉は決裂した。警察は通常業務に戻っていたが、給料カットと年金廃止に対する不満は尽きず、日常的に警官によるデモが繰り返されていた。一方、オムニ社は、市からの警察業務の受託の次の計画として、市の乗っ取りに動き出していた。デトロイト市はオムニ社に三千万ドル強の借入があり、支払い不履行の場合は、オムニ社に市の全資産に担保権を譲る契約だったが、現在の市の財政状況では返済は絶望的だった。実は、オムニ社が警察のストやデモを許しているのは、犯罪増加によって市長の信用を貶め、市の乗っ取りをしやすくするためだった。
その頃、デトロイトでは、史上最悪と呼ばれる麻薬“ヌーク”が蔓延し、社会問題となっていた。また、ヌークの製造と密売を取り仕切る“ヌーク教団”のリーダー、ケインの指揮によって、麻薬更生治療センターや公衆衛生局長官を狙ったテロが相次いで起こっていた。
ある夜、銃砲店を襲った強盗を捕まえた“ロボコップ”ことマーフィは、犯人がヌークを持っているのを見て、それを手に入れた工場を白状させた。相棒のルイスらと共にヌーク工場を摘発したマーフィは、ヌーク教団の少年ホブと対峙。子供が撃てないようプログラムされていたために、ホブを取り逃がしてしまったマーフィは、その時、息子のジミーのことを思い出していた。
マーフィは、自分が殉職した後に家を引き払った妻エレンとジミーの転居先を突き止めていて、暇があればその住所に向かい、エレンたちの姿を遠くから見守っていた。だが、それがエレンに気付かれ、マーフィは付きまといとして訴えられることに。エレンがマーフィの死のショックから立ち直り、彼の死を受け入れ始めた頃のことだった。マーフィは弁護士の仲介で、エレンと直接話し合うことになったが、自分は機械であり、エレンの夫には戻れないという現実を思い知らされることに。マーフィは、彼の素顔が夫にそっくりだったことに驚くエレンに、自分はマーフィに似せて作られた機械だと明言するのだった。
オムニ社は、ロボコップを超える性能を持つ新型サイボーグの開発を、多額の開発費をつぎ込んで進めていたが、完成したサイボーグはすぐに錯乱状態に陥ってしまい、オールドマン会長を満足させるよう結果はまだ得られていなかった。失敗の原因は、サイボーグの構造の一部に利用している生体組織の精神が、機械の肉体に耐えられないためだった。その問題を解決するため、開発部の顧問に迎えられた精神科医のファクスは、実験体に用いた警官は肉体的な自負心が強いため、肉体を失った瞬間に自殺してしまうのも当然だと分析。マーフィは責任感の強い性格だったために成功した希な例なのである。ではどんな人物がサイボーグに適しているのか。選抜を任されたファクスは、札付きの人殺しを候補として考えていた。
マーフィはホブを張り込み、ヌークと引き換えに彼に情報を流していた警官を捕まえた。警官を締め上げたマーフィは、ケインが廃棄物処理場に潜伏していると知り、単身、現場へ乗り込むが、彼を待ち受けていたヌーク教団から、マシンガンと電撃の攻撃を受けた。鋼鉄の体のマーフィもさすがに昏倒。そのまま作業台に括り付けらけれたマーフィは、ホブたちの手でバラバラに解体されてしまった。警官たちがデモを行っていた警察の前に車が止まり、何かを捨てて去って行った。それは惨めな鉄くずと化したマーフィだった。
マーフィはオムニ社に運ばれて修理を受けるが、プログラムにはファクスの手が加えられた。職務に復帰したマーフィは、姿は元通りだったが、性格は人が変わったようななくだけてしまっていた。異変に気付いたルイスが、メンテ担当の科学者にマーフィの解析を依頼。すると、案の定、不正な指令が詰め込まれていて、それを拒否することができないようにされていた。このままでは脳が破壊される可能性もあったが、不正な指令を取り消すには頭のサーキットを切るか、高圧電流を流すしかないという。科学者の話を傍で聞いていたマーフィは突然立ち上がって外へ出ていくと、変圧器に手を突っ込み自ら感電。不正な指令から解放されたマーフィは、ケインを逮捕しなければならないことを思い出した。
マーフィは仲間の警官たちと共に再び廃棄物処理場へ乗り込んだ。銃で抵抗するヌーク団の相手をルイスたちに任せ、マーフィはトラックで逃げたケインを追跡。チキンレースでの対決の末に、ケインの乗ったトラックは衝突、横転した。マーティは、重症を追ったケインの逮捕に成功するが、それこそファクスの思うつぼだった。ファクスは、ケインほど新型サイボークの実験体に適正な人間はいないと判断し、彼の生命維持装置のスイッチを切った。
一方、警察の手入れから逃げ延びたホブは、キューザック市長がオムニ社への借金返済のために、なりふり構わず市民への寄付を呼び掛けているのを見ると、彼に連絡し、借金の清算に協力すると申し出た。市長が返済について急に強気になったことを知ったオールドマンは、もし乗っ取り計画が破綻した場合には、オムニ社の信用も失墜してしまうことをことを恐れた。頭をかかえるオールドマンに、ファクスは「思い切った手段」を提案。もちろん、ケインの脳幹を使った新型サイボーグを活用する手段である。ファクスは、ヌークをちらつかせて手なずけたケインに、市長の抹殺を命じた。
市長はホブとの取引のため廃工場を訪ねた。ホブは約束通り現金や金塊を用意していたが、それを融資するために、ある条件を市長に飲ませることにした。それは、ヌークの取り締まりを行わないことである。麻薬を自由に買えるようにすれば、それを手に入れたいがために行われる犯罪も減るはずだ、というホブの詭弁を、市長が渋々受け入れようとしたその時、巨大なサイボーグと化したケインが現れた。ケインはヌーク教団と市長の側近たちを次々に殺害していった。通報でマーフィが駆けつけると、既にホブは虫の息だった。ホブはケインが現れたことをマーフィに告げたると、息絶えたのだった。
オムニ社のホールでオールドマンが、新しいデトロイト市の構想をプレス向に発表していた。ホールには、ケインの襲撃から辛くも逃げてきた市長の姿もあった。続けて公開された新型サイボーグ“ロボコップ2”を見た市長は、それが先程自分を襲ったサイボーグだと気付いた。オールドマンがヌーク入りのシリンダーを掲げて、このような麻薬を一掃することを宣言すると、“ロボコップ2”ことケインの様子がおかしくなった。麻薬の禁断症状だった。オールドマンの手からヌークを奪おうととして暴走を始めたケインに、ホールに現れたマーフィが宣戦布告。二体のサイボーグの間の因縁の対決が火ぶたを切った。
マーフィとケインはオムニ社のビルの上へ下へと激しい戦いを繰り広げて行った。マーティに追われてビルの外に出たケインは、取り囲んでいた警官や一般市民に向けて次々と発泡。貧弱な装備しかない警察にはなすすべなく、ルイスの装甲車による決死の特攻にもケインはびくともしなかった。マーティはホールからヌークのシリンダーを探してくると、ルイスに託した。マーフィは、ルイスの持つヌークに気をとられていたケインの頭に飛び乗ると、頭部をこじ開けて、ケインの脳幹を引きずり出した。脳幹を叩き潰されたケインは機能を停止した。オールドマンは、事件の全責任をファクスに擦り付けることに決めると、記者の間を何食わぬ顔をしてすり抜けていった。それを見て悔しがるルイスに、マーフィ「堪えろ。我々は人間だ」と告げたのだった。