オール黒人キャストでおくるミュージカル「オズの魔法使い」。

ウィズ

原題THE WIZ
製作年1978 年
製作国アメリカ
上映時間134 分
色彩カラー



解説
「オズの魔法使い」を現代風にアレンジし、オール黒人キャストで上演され、ヒットしたブロードウェイ・ミュージカル「ザ・ウィズ」を映画化した作品。舞台はニューヨークの下町。将来に漠然とした不安を抱く二十四歳の女性を主人公に、吹雪と共に魔法の国に飛ばされてしまった彼女の冒険を描く。
おおまかな物語は、下敷きとした「オズの魔法使い」と同じだが、魔法の国を高層ビルが立ち並び、地下鉄が走る近代都市とした世界観はなかなか面白い。空飛ぶ猿をオートバイ、西の魔女の城を工場に見立てるといったところも徹底している。主人公の現実と魔法の国は同じニューヨークであり、その違いは、黄色いレンガが敷かれているかそうでないかだけ。本人次第で世界や自分を変えていくというテーマを補強している。また、魔法使いを単なる間抜けとし、主人公の自立を際立たせたラストも、39年版よりもメッセージ性が強く、感動的になったようだ。
「オズの魔法使い」のパロディとしてみるだけでも楽しい作品であるが、あくまで本作の肝はミュージカルである。ダイアナ・ロス、マイケル・ジャクソンといった黒人音楽界の出演も見どころだが、必見は大人数でのダンス・シーン。「オズの魔法使い」の物語をそっちのけにした素晴らしさであり、人間がアクロバティックに乱舞する超絶パフォーマンスはシルクドソレイユもびっくり。ミュージカル映画史上、最も美しいことには疑いがなく、まさに、黒人発のエンターテインメントの極みといったところだ。もちろん、サントラも傑作。



ストーリー
ハーレムに暮らす二十四歳のドロシーは、将来の進路に悩んでいた。ある雪の夜、愛犬トトを探しに外へ出たドロシーは、吹雪に巻き込まれて、知らない世界まで飛ばされてしまった。ドロシーは、飛んできた勢いで、東の悪い魔女エバミーンを押しつぶしてしまった。エバーミンに捕らわれていた良い魔女ミス・ワンは、助けてくれたお礼に、エバーミンが履いていた銀色の靴をドロシーに贈った。
ハーレムの家に帰るには、魔法使いウィズの力が必要だと教えられたドロシーは、ウィズの住むエメラルド・シティを目指した。その道すがら、ドロシーは、脳みその欲しいかかし、心の欲しいブリキ男、勇気の欲しいライオンと出会った。ドロシーは、かかしたちの願いもウィズにかなえてもらうと提案し、彼らも旅に加わることになった。
黄色いレンガの道をたどってエメラルド・シティにやってきたドロシーたちは、ウィズと会うことが許された。ところが、ウィズは願いをかなえる条件として、エバミーンの姉イブリーンを倒すことを求められることに。その頃、イブリーンは、ドロシーたちを捕らえるため空飛ぶ猿を放っていた。
ドロシーたちは、空飛ぶ猿に捕まり、イブリーンの強制労働工場で拷問を受けることに。絶体絶命のその時、かかしの機転でスプリンクラーが作動され、水が弱点だったイブリーンは滅ぼされた。ドロシーたちは、エメラルド・シティの裏口からウィズのもとへ戻り、いよいよ願いがかなえられることに。
ところが、裏口にいたのは魔法使いウィズではなく、人間のペテン師スミスだった。失望しかけたドロシーたちだったが、旅の過程で、かかし、ブリキ男、ライオンは、それぞれに望みのものを手に入れていた。そして、ドロシーの前には妖精が現れ、家への帰り方を教えた。ドロシーが教わった通り、銀色の靴のかかとを打ち鳴らすと、彼女は家に戻ってきたのだった。



キャスト
ドロシー
ダイアナ・ロス
かかし
マイケル・ジャクソン
ブリキ男
ニプシー・ラッセル
ライオン
テッド・ロス
イブリーン
メイベル・キング
エマ叔母
テレサ・メリット
ミス・ワン
セルマ・カーペンター
妖精グリンダ
レナ・ホーン
ウィズ
リチャード・プライヤー
ヘンリー叔父
スタンリー・グリーン

スタッフ
監督
シドニー・ルメット
製作
ロブ・コーエン
製作総指揮
ケン・ハーパー
製作補
バート・ハリス
原作
L・フランク・ボーム「オズの魔法使い」
原作戯曲
ウィリアム・ブラウン
脚本
ジョエル・シューマカー
撮影
オズワルド・モリス
音楽
チャーリー・スモールズ
音楽監修/編曲/オーケストラ
クインシー・ジョーンズ
美術
トニー・ウォルトン
装飾
フィリップ・ローゼンバーグ
編集
デデ・アレン
衣装デザイン
トニー・ウォルトン
マイルス・ホワイト
特殊視覚効果
アルバート・ホイットロック
特殊メイク
スタン・ウィンストン
特殊効果
スタン・ウィンストン・スタジオ