東南アジアで捕虜救出の任務に着いたランボーの活躍を描く戦争アクション。
「ランボー」シリーズ第2弾。
ランボー
怒りの脱出
原題 | RAMBO
FIRST BLOOD PART II |
製作年 | 1985
年
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製作国 | アメリカ |
上映時間 | 94
分
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色彩 | カラー |
社会から見捨てられた兵士の痛みを悲劇的な形で描き出した『ランボー』の続編で、シリーズ最大のヒットとなった作品。当初は主人公ランボーが自殺して終わる物語だったはずだが、結局、公開された作品の結末は異なり、ランボーは生き残った。そのため、続編である本作が製作される運びとなり、ランボーの戦争も続くことになった。原題も邦題と同じく"RANMBO"であるが、これは、日本の配給会社が前作につけた邦題を踏襲するという珍しい経緯があったのだと言われている。
前作の物語は、ベトナム帰りの英雄がアメリカ人に牙を向いくという痛烈なもので、もちろん、英雄の物語ではない。しかし、本作では趣旨が真逆となり、「たったひとりで抵抗する」というシチュエーションが同じだけの、好戦的なヒーロー・アクション映画に変貌を遂げている。本作では決定的となったランボーのキャラクターのイメージは、数々のパロディや亜流作での模倣の対象となった。また、ロッキーと並ぶスタローンの代表的な当たり役にもなっている。
ジェームズ・キャメロンの手がけた荒唐無稽な脚本(前作に引き続き、スタローンも自ら参加)には、前作ほどの深遠さやリアリティはない。兵士の苦しみを訴えたメッセージも取ってつけのようで、説得力についても言わずもがなだ。しかし、ランボーの怒りを引き出すことにだけに集中したストーリーは、エンターテインメントとして充実したものであり、怒りが爆発する後半からラストに至るまでの戦闘シーンのボルテージの高さは類を見ない。つまり、作品の出来不出来はともかくとし、面白いか面白くないかで言えば、非常に面白い作品なのである。
見どころはなんと言っても派手なアクションである。クライマックスのヘリを使った爆撃シーンは、『地獄の黙示禄』の有名なシーンを彷彿とさせるのだが、VFXを駆使した映像ではなく、実際に森が燃えて河川が破壊されているのだから、今さらながら驚かされる。その凄まじさは、環境保護に敏感な今の時世なら、「深刻な環境破壊が行なわれたのでは」などと余計な心配までしまうほどだ。また、爆発炎上の迫力だけで圧すのではなく、生身のランボーの活躍の場も数多く用意され、思いの他、感覚にも訴えるアクションが楽しめる。銃はもちろん使用するが、ナイフや弓矢などといった原始的な武器を積極的に使いこなすことで、スタローンの肉体の躍動感を伝えられた。弓矢をキリキリと引き絞る姿は、さすがに画になっている。
採石場で強制労働についていたべトナム帰還兵ジョン・ランボー。彼のもとにあの事件で世話になった上官トラウトマン大佐が訪ねてきた。トラウトマンは大統領第一級指令と称し、ランボーに任務についてくれるよう頼んだ。その任務とは、東南アジアで戦闘中に行方不明になったアメリカ兵を探し出すこと。適任として、コンピュータがはじき出したのがランボーだったのだ。兵士が消えたになったのは、かつてランボーが脱走した場所に近いところだという。任務を成功させたあかつきには、特赦することをトラウトマンは約束した。
東南アジアの戦地に降り立ったランボーを兵士のエリクソンとマードック司令官が迎えた。マードックがランボーに与えた命令は、兵士を救出することではなく、見つけた兵士のだだ写真を撮るだけだった。救出はデルタフォースの仕事だと、マードックは付け加えた。ランボーは単独行動で作戦を行なうことになるが、司令部には彼を補助するためのハイテク武器が揃っていた。また、作戦は36時間で完了させることが条件だった。出発前、ランボーはトラウトマンに、「マードックは信用できない」と告げた。ランボーが発った直後、マードックは「兵士を発見するのは無理だろう」と呟いた。
ランボーはヘリで降下地点に向かったが、ヘリから飛び出すときにベルトがひっかかるというトラブルに見舞われ、装備のほとんどを切り離さざるを得なくなった。早くもマードックは、ランボーを死んだものとし、予定時間を一分でも過ぎれば作戦中止すると宣言した。ジャングルの中に降りたランボーは、女性の連絡員コー・バオと合流。ランボーはコーの案内で、現地人の船長と接触した。翌朝、ランボーとコーは船で川を下り、捕虜が収容されているキャンプを目指した。二人は船の上で互いのことを話し合い、コーはアメリカで暮す夢があることを告白した。
その夜、ランボーとコーはキャンプに到着した。キャンプは無人のようだったが、ランボーは写真をとるだけという命令を無視して、小屋に近付いていった。そして、檻の中にアメリカ兵たちが捕まっているのを発見した。ランボーは、磔にされた捕虜の一人バンクスを救出すると、コーと共に追っ手から逃げた。一夜明け、ランボーとコーとバンクスの三人は船に戻るが、哨戒艇が現れた瞬間、船長の裏切りにあった。ランボーたちは船長とその仲間たちを倒すと、哨戒艇と共に爆発した船から脱出した。
約束の36時間が経とうとしていた。ランボーとバンクスはコーと別れると、ロケット弾攻撃をかいくぐりながら、迎えのヘリが来る場所に急いだ。トラウトマンも同乗した迎えヘリがランボーとバンクスの姿を捉えた。だが、司令部のマードックは、ランボーが捕虜を引き連れていると知らされた途端に、作戦の中止を叫んだ。トラウトマンはその命令に我が耳を疑うが、マードックの忠臣であるエリクソンに銃を突きつけられたため、ランボーたちを見捨てることになってしまった。
司令部に戻ったトラウトマンはマードックに食って掛かった。マードックははじめから捕虜を救出するつもりがなかったのだ。捕虜に対する莫大な身代金を払うより、彼らを見捨て方が国家のためになるという政治的な決定だとマードックは告げた。この作戦は、捕虜がいないことを国民を納得させるための上辺だけの調査だったのだ。一方、ランボーとバンクスは、敵に捕まりキャンプに連行された。キャンプには敵の後ろ盾であるソ連軍の一隊がやって来て、隊長のポドフスキー中佐がランボーに尋問を始めた。ランボーに司令部を呼び出せるのが彼の目的だった。
その夜、ランボーはポドフスキーの過酷な拷問に耐え続けていた。だが、ポドフスキーがバンクスを傷つけようとしたことには耐えられず、ついに折れてしまった。ランボーはポドフスキーに従うまま通信機を手にとり、司令部を呼び出した。だが、ランボーはマードックに「命を貰いに行くぜ」と告げると、次の瞬間、反撃に転じてソ連兵たちを倒した。そして、売春婦に化けてキャンプに潜入していたコーの助けを得ながら、キャンプから脱出したのだった。夜が明けた。ランボーは傷の手当てをしてくれたコーに一緒にアメリカに連れて帰ることを約束した。コーは喜んだが、次の瞬間、物陰に隠れていた敵兵に撃たれて命を落とした。
ジャングルにスコールが降り出した。コーを殺された怒りを爆発させたランボーは、雨の中、ゲリラ戦法で次々と敵兵を始末していった。ジャングルを脱したランボーは、敵兵に追われながら村に乱入。鶏の血を使って怪我を偽り、敵兵を引き付けてたランボーは、高台に上って弓矢を放った。仕掛けておいた爆弾が着火し、村は敵兵もろとも爆発した。今度は、敵のヘリがランボーの頭上に現われ、爆弾を投下してきた。爆弾をかわしながら、近付いてきたヘリに飛び移ったランボーは、乗っていたポドフスキーを倒すと、ヘリを奪い取った。
キャンプに取って返したランボーは、ロケット攻撃でキャンプを破壊。檻から捕虜たちを救い出し、彼らを乗せてヘリを飛び出させた。ランボーは司令部に目指してヘリを飛ばしていたが、連軍のヘリが追いすがってきた。敵のヘリの攻撃を受けてランボーのヘリはコントロールを失ってしまった。敵のヘリは不時着したヘリに近付き、ランボーが気を失っていることを確認。敵のヘリがとどめ一撃を発射しようとしたその時、ランボーは不意をついてロケット・ランチャーを発射。その一瞬の差が勝負を決め、敵のヘリは撃ち落された。
捕虜を連れて基地に帰還したランボーは、側にいたエリクソンを殴りつけると、武装したまま真っ直ぐに司令部に向かった。司令部のハイテク機器を雄叫びをあげながらマシンガンで破壊し尽した後、ランボーはマードックの前に立った。ランボーの怒りの形相を前にして、マードックは必死に言い訳を始めた。だが、ランボーはマードックを殺さず、任務の完了を告げた。そして、マードックに他の捕虜も救出するよう迫り、さまなくば殺すと脅かした。すべてが終わった後、ランボーは行くあてもなく歩き出した。トラウトマンに「望みは何だ」と尋ねられたランボーは、「兵士たちが国を愛しているように、国も彼らのことを愛して欲しい」と苦悶の表情で訴えたのだった。
キャスト
ジョン・ランボー
| シルヴェスター・スタローン
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トラウトマン大佐
| リチャード・クレンナ
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マードック司令官
| チャールズ・ネイピア
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ポドフスキー中佐
| スティーヴン・バーコフ
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コー・バオ
| ジュリア・ニクソン
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エリクソン
| マーティン・コーヴ
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ヴィン船長
| ジョージ・キー・チャン
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バンクス
| アンディ・ウッド
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スタッフ
監督
| ジョージ・P・コスマトス
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製作
| バズ・フェイトシャンズ
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製作総指揮
| マリオ・カサール
アンドリュー・ヴァイナ
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キャラクター創造
| デイヴィッド・マレル
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原案
| ケヴィン・ジャール
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脚本
| ジェイムズ・キャメロン
シルヴェスター・スタローン
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撮影
| ジャック・カーディフ
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音楽
| ジェリー・ゴールドスミス
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美術
| ビル・ケニー
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編集
| マーク・ゴールドブラット
マーク・ヘルフリッチ
ラリー・ボック
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