大富豪チャーリーが顧問を務める犯罪撲滅委員会の
“エンジェル”と呼ばれる3人の美人諜報員の活躍を描く。
70年代の人気TVシリーズの映画化した痛快アクション・コメディ。

チャーリーズ・エンジェル

原題CHARLIE'S ANGELS
製作年2000 年
製作国アメリカ/ドイツ
上映時間98 分
色彩カラー



解説
70年代の人気テレビシリーズを映画化。監督はミュージック・ビデオ出身のマックG(このヘンな名前は母親の旧姓“マクギンティ”から)。製作主演は昨今、活躍が目覚しいドリュー・パリモア。共演はラブコメで人気のキャメロン・ディアスと、アクションものでクールな役の多いルーシー・リュー。リーダー的存在のパリモア、メカなどの知的作業担当のディアス、格闘術を得意とするリューといったように、三人の個性がよく描かれていて楽しいが、三人の活躍を支える男性局員ビル・マーレイのトボけた芝居にも注目。チャーリーの声はテレビシリーズと同じくジョン・フォーサイスが担当している。
ただ、ひたすらにふざけた内容であるということは、はじめに了承しておきたい作品だ。その判断の基準となるのは、「007」などでもお約束である冒頭の“普段の活躍”を見せるシーケンスである――飛行機を爆破しようとした男を変装したエンジェルが捕まえ、そのままスカイダイブ。海上で待ち受けていた仲間のボートに着地。のけぞるようなツカミが終わった後のオープニングは、テレビシリーズを踏襲したチープ感溢れるもの。チャーリーのナレーションによるエンジェル三人の紹介。そして、派手なタイトルが「ドーン」と画面に――と、言った感じであるが、この観客をナメまくったツカミとオープニングを見てどう思うだろうか? 憤慨した人はこのまま観続けることはお勧めできない。なぜなら、この冒頭が作品のイメージを見事に表現しているからである。
ツカミとオープニングで作品の雰囲気を了解し、拍手を送った人にとっては、この作品を観るひと時が有意義なものになることは間違いない。で、本編はというと、ストーリーそっちのけにして、主演三人のコスプレ大会。まさか、この場に及んで、「ドリューの自己満足丸出し」などと文句を言う人もいないだろうが、つまり、女優たちのはしゃぎっぷりを楽しむ映画なのである。すっかり皆に愛されるキャラになったドリューに較べると、ルーシーについてはキャストにねじ込まれた感もあり、女優としても色々と好みの別れるところだろうが、そんな彼女より不美人に見えるのが、意外にもキャメロンだったりする。ドリューの手前、わざとブスに撮られたなどと囁かれたりもしたが、そんな噂も微笑ましく思えてしまう。それも、この作品の持つ明け透さのせいなかもしれない。
アクションシーンやスタイリッシュな映像にも凝っているが、臆面もなく『マトリックス』のフローティング・モーションをそのままにマネるところや、演出意図のわからない逆回転映像の無駄なこと無駄なこと。しかし、その無駄さ加減がくだらなくて、最高に楽しいのである。また、ちっとも強そうに見えないが迫力だけはイッチョ前、という怪しげなカンフーも荒唐無稽な活劇の中にあっては実にカッコいい。それにしても、エンジェルたちが必要以上にお客様に尻を向けているところが気になるところだが、お行儀が悪く節操の無い“あばずれ”さも、エンジェルの魅力のひとつと思えば、許せてしまうのである。好評につき、続編も作られた。



ストーリー
ディラン、ナタリー、アレックスの三人の美女は、表向きではそれぞれ別の仕事を持ちながら、チャーリー・タウンゼント探偵局の局員という裏の顔を持つ。姿を見せないが、いつも声だけで司令を下すボスのチャーリーは、日夜、重大犯罪と果敢に戦っているディランたちのことを、親愛を込めて“エンジェル”と呼んでいた。
今回、エンジェルたちに下された任務は、誘拐されたノックス・テクノロジー社の創設者エリック・ノックスの救出である。ノックス・テクノロジーは通信ソフトウェウで急成長をとげた大企業。探偵局に依頼をしてきたクライアントは社長のビビアンだった。ノックスがいなくなることでもっとも得をするのは、ビビアンを除けば、ライバル社レッド・スターの社長ロジャー・コーウィンしかいない。コーウィンが黒幕と睨んだエンジェルたちは、ノックスの誘拐の瞬間を捉えた駐車場の監視カメラを検めた。そこに映っていた“ヤセ男”を捜し、エンジェルたちはコーウィン主催のパーティに潜入した。会場で発見した“ヤセ男”を追跡したエンジェルたちは、ノックスの救出を成功させた。だが、これで、エンジェルたちの任務は、完了したわけではなかった。
ノックス・テクノロジー社が開発した声紋を認識するソフトウェア。それの悪用を防ぐことがエンジェルたちの次の任務だった。このソフトがGPSシステムに組み込まれるということになれば、携帯電話などの声さえあればその人物の居場所を特定することが可能となり、プライバシーなどなくなるだろう――と、ノックスとビビアンはエンジェルたちに警告した。
まず、レッド・スター社が声紋認識ソフトをシステムに組み込んだのかどうかを調べる必要があった。だが、同社のコンピューターは堅牢なセキュリティーシステムによってに守られていた。コンピュータールームに入ることを許されるのは、レッド・スター社の重役だけである。エンジェルたちは、二人の重役の指紋と網膜の縞を採取すると、コンサルタントの一行に化けて、レッド・スター社に乗り込んだ。エンジニアたちを騙し、レべル4のコンピュータールームに潜入したナタリーは、メインコンピュータをクラックし、探偵局の事務所のコンピュータからいつでもシステムを覗けるように細工。レッド・スター社のコンピュータの監視は、探偵局の局員ボスレーが担当することになった。
レッド・スター社をマークしたことで、ノックスの身の安全が保障されるというわけではない。ディランは護衛のためにノックスの家に向かい、危険物が隠されていないか隅々を調べた。その時、ディランは、ノックスの亡き父親の写真にふと目をとめた。ノックスの話によれば、彼の父親は陸軍情報局にいたが、写真に一緒に写っている親友に裏切られて殺されてしまったのだという。ディランは、父親のことを悔しそうに語るノックスに同乗し、彼と恋に落ちてしまった。
探偵局の事務所にボスレーが一人でいた時、突然、ビビアンが訊ねてきた。ビビアンは、ボスレーを見るなり彼女にボスレーに迫ってきた。時を同じくし、アレックスはスナイパーから狙撃されそうになり、ナタリーもトイレで男から襲撃を受けていた。反撃したナタリーは男を締め上げ、自分を襲わせた者の名前を吐かせた。男が告げた名は、意外にもビビアンだった。ナタリーはディランに危険を知らせるが、その時、彼女はノックスのベッドの中だった。ディランがベッドから起き上がると、部屋にはビビアンが来ていた。ディランは、ビビアンが敵であることをノックスに報せた。だが、実は、ノックスこそ、ビビアンと共謀する真の黒幕だったのだ。
ノックスは、本当の狙いがチャーリーにあることと、利用価値の高いボスレーを誘拐したことをディランに教えた。そして、さっきまで愛し合っていたディランに銃を向け、容赦なく引き金を引いた。銃弾で背後のガラスが割れ、それと共にディランはビルの外に放り出された。だが、奇跡的にもディランは無傷だった。エンジェルたち三人は探偵局の事務所の前で合流。だが、その瞬間、事務所は仕掛けられた爆弾により、木っ端微塵になってしまった。
ノックスはなぜチャーリーを狙い、ボスレーを誘拐したのか? ディランはノックスの父親の写真の隣りに写っていた男の名札が、“タウンゼント”であったことに気付いいた。ノックスは、チャーリーが父親の敵だと思っているようだ。ボスレーを誘拐したのも、彼の携帯電話にチャーリーが連絡してくる機会を利用し、居場所を突き止めようとしているのだろう――その時、瓦礫と化した事務所の中からボスレーの声が聞えてきた。音の出所をたどると一台のスピーカー。ボスレーが奥歯に入れていた通信機の信号をキャッチしたのだ。ナタリーはボスレーの声に紛れて聞えてきた小鳥の声に耳をすませ、その鳥の唯一の生息地を突き止めた。
鳥という手がかりをもとにして、エンジェルたちはボスレーが閉じ込められている島へ乗り込んだ。ディランはノックスの計画の妨害をしようとするが、敵に見つかり捕まってしまった。ディランのなすべなく、ノックスはボスレーに電話をかけてきたチャーリーの声から彼のいる浜辺のキャビンをつきとめてしまった。一方、そのころ、ナタリーはボスレーを救出し、アレックスはビビアンを倒していた。
ディランは敵の手を逃れ、ナタリーとアレックスと合流。その時、ノックスはチャーリーをミサイルで攻撃するため、ヘリを出撃させていた。エンジェルたちはチャーリーたちを守るため、ヘリに乗り移ってノックスを止めようとしたが、ミサイルは発射されてしまった。ミサイルはチャーリーのキャビンへ向けて突き進み、そのまま直撃するかに見えたが、突然、Uターンした。アレックスがミサイル発射の直前に細工をし、熱誘導に変更していたのだ。ミサイルがノックスを乗せたヘリを撃墜する直前、エンジェルたちは海へ飛び込んだ。
浜へ流れ着いたエンジェルたちは、はじめてチャーリーに会えるというという期待に胸を膨らませ、キャビンに足を踏み入れた。だが、そこで待っていたものは、いつものスピーカーからのチャーリーの声だった。チャーリーは事の次第を説明。ノックスの本名はジョン・マクキャベイという。実は、二重スパイであったことがバレたマクキャベイの父は、敵の組織によって殺されていたのだった――エンジェルたちは、事務所が立て直されるまで、ボスレーと四人でキャビンで過ごすことになった。だが、ディランだけは、すぐ近くでチャーリーが見守っているような気配を感じていた。



キャスト
ナタリー
キャメロン・ディアス
ディラン
ドリュー・バリモア
アレックス
ルーシー・リュー
ボスレー
ビル・マーレイ
ノックス
サム・ロックウェル
ビビアン
ケリー・リンチ
コーウィン
ティム・カリー
ヤセ男
クリスピン・グローヴァー
ピート
ルーク・ウィルソン
チャーリー(声)
ジョン・フォーサイス
ジェイソン
マット・ルブラン
チャド
トム・グリーン
ミスター・ジョーンズ
LL・クール・J
パスカル
ショーン・ウェーレン

スタッフ
監督
マックG
製作
ドリュー・バリモア
レナード・ゴールドバーグ
ナンシー・ジュヴォネン
製作総指揮
ジョセフ・M・カラッシオロ
アーロン・スペリング
ベティ・トーマス
ジェンノ・トッピング
キャラクター創造
アイヴァン・ゴフ
ベン・ロバーツ
脚本
ライアン・ロウ
エド・ソロモン
ジョン・オーガスト
撮影
ラッセル・カーペンター
マイケル・セント・ヒレア
音楽
エドワード・シュワマー
アラン・メリル
ケン・タンプリン
音楽監修
ジョン・ホーリハン
美術
マイケル・リーヴァ
編集
ウェイン・ウォーマン
ピーター・テシュナー
衣装デザイン
ジョゼフ・G・オウリシ
特殊効果
ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス
キャスティング
ジャスティン・バッデレイ
キム・デイヴィス